SBIホールディングスがスイスのシグナム銀行へ出資発表
SBIホールディングス株式会社は、同社100%子会社でデジタルアセット関連事業の統括・運営をするSBIデジタルアセットホールディングス株式会社がスイスのデジタル資産銀行であるシグナム銀行(Sygnum Bank AG)に出資したことを2月18日に発表した。なお出資金額については明記されていないが、シグナム銀行のリリースによると「8桁USD(10億円規模)」の出資を受けたとのことだ。
シグナム銀行は2019年にスイスの金融当局(Swiss Financial Market Supervisory Authority)から銀行免許を付与されたデジタル資産銀行として営業を開始し、またシンガポールにおいても当局認可を受けた資産管理会社として活動しており、自社開発サービスであるセキュリティトークン発行プラットフォーム「Desygnate」を活用して自社株式をトークン化するなど、デジタル資産の発展に向けた取り組みを進めている。またSBIグループとは昨年の10月にデジタル資産関連企業に投資をする共同ベンチャーファンド設立についても合意している。
なおSBIホールディングスの代表取締役社長である北尾吉孝氏は今回の出資について「デジタルアセットとセキュリティトークンが投資家や金融機関にもたらす可能性を信じています。SBIの成長戦略の1つは、デジタルアセット経済のための活気あるグローバルエコシステムの構築を中心に展開しており、デジタル製品の提供と欧州とアジアでの専門知識を持つシグナムを戦略的パートナーとして迎えられることを嬉しく思います」とシグナム銀行のリリースにて述べている。
SBIホールディングスは今回の出資によるシグナム銀行との連携を通して、SBIグループのSTOに対する取り組みやデジタル資産に関する取り組みを更に強化できると考えているとのことで、SBIグループが有するノウハウとシグナムが有するサービスを活用することにより、セキュリティトークンおよびデジタルアセットの一層の発展に向けて取り組んでいくとのことだ。
編集部のコメント
今回のSBIホールディングスによる出資は、SBIが暗号資産(仮想通貨)事業関連の合弁会社設立のために外資系金融企業と協議中であることが報じられましたが、これに関するものであると考えられます。
なお北尾社長はパートナー企業に関して現在少なくとも2つの協議を進めていることを明らかにしています。
SBIでは昨年12月にスイス拠点のデジタル資産取引サービスを提供するSIX Digital Exchange(SDX:シックス・デジタル・エクスチェンジ)と、シンガポールを拠点とする機関投資家向けのデジタル資産の発行・取引・保管の各機能を提供する合弁会社の設立について合意したことを発表しています。
SDXは世界有数の取引所であるスイス証券取引所を運営するSIXグループの一員であり、スイスを中心としたヨーロッパでデジタル資産向けの取引・決済代行サービスを提供している企業です。 SBIのスイスの市場への関わりに注目です。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStocks/pavelns・Ninja-Studio)