ヴィタリックがイーサリアム2.0のアップグレード案を公開

ヴィタリックがイーサリアム2.0のアップグレード案を公開

イーサリアム創始者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が現在のイーサリアム2.0ビーコンチェーンのハードフォークに関する提案を2月15日に行った。このプロジェクトは仮称でHF1と呼ばれている。HF1はブロックチェーン分岐というよりもアップデートだ。

HF1の目的は「1.ライトクライアントサポートの追加、2.ハードフォーク後では修正が困難なポイントの修正 3.大きな変更(シャーディング、マージ)を行う必要がある前に、比較的小さな変更でハードフォークメカニズムをテストすること」の3つが記載されている。

イーサリアムのライトクライアントとは、エンドユーザー向けの簡略版フルノードのこと。ライトクライアントは関連するトランザクションやデータだけを処理、取得するので、データの検証や同期を効率化できる。

具体的な提案内容として、同期委員会(Sync Commitee:シンク・コミッティー)のコンセンサスメカニズムへの追加、イーサリアムノードのブロック生成に関連する報酬やペナルティの計算方法の変更が説明されている。

シンク・コミッティーは、イーサリアム2.0のバリデータの中から27時間ごとに1024ノードが無作為に選ばれ、選ばれたノードが現在のブロックヘッダーのメタデータの真正性を証印する統制システムだ。

シンク・コミッティーはライトクライアントが低負荷(ロウオーバーヘッド)でチェーンヘッダーを決定できる設計にすることを目的に追加される。現在、ライトクライアントがフルノードと同期するためには、最低でも1日あたり20kB、単一ブロックを検証するためには最低でも500バイト必要だ。

シンク・コミッティーができることで、ライトクライアントはモバイルデバイスやブラウザ内でのビーコンチェーンで実際に利用可能になり、より信頼性の高い最小化されたウォレットエコシステムへの道が開かれることになるようだ。

報酬に関する変更点の提案は、ブロック生成に関わったのはどのバリデーターであるかをリアルタイムで蓄積できる内容のものとなっている。具体的には各バリデータのステータスを格納するビットフィールドを追加し、シンク・コミッティーのバリデータのデータ1つ(レコード)が一緒に表示されるようにするとのこと。

この変更の目的は、クライアントの実装を簡素化し、マークルツリーの更新をより安価にすることのようだ。マークルツリーとは、ハッシュ化されたデータが格納され、ツリー構造で検証されていく仕組みのことだ。

ペナルティに関する変更点の提案は、ノードのペナルティに関する計算が1エポック(ブロック単位)ごとではなく、64エポックごとに1回しか行わないようすることだ。この変更の目的は、何も格納されていないエポック遷移の処理の複雑さを大幅に減らすことにある。またオフライン状態のノードの空き容量(Leak)の効率的な活用や統制についても記載されている。 

(images:iStocks/pgraphis)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。 これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

広告

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している