KPMGがトライテラスの外部監査役を辞任、さらにトライテラスをめぐる株の空売り問題も

ナスダック上場のブロックチェーン企業トライテラス(Triterras)は、KPMGがトライテラス社の外部監査役を辞任したことを1月25日に発表した。ちなみにKPMGは1月20日付で辞任しているとのこと。なおトライテラスのプレスリリースによれば、双方の合意によってKPMGは辞任したとのこと。

メディアLedgerinsigtsがトライテラス社へ問い合わせたところ「今回のKPMGの辞任は当社の会計処理の問題ではなく、監査役の役割に関わることに関連している」と答えたようだ。

トライテラスのプレスリリースでは「2020年2月29日に終了する事業年度及び2019年2月28日に終了する事業年度に係るトライテラス社の財務諸表に対するKPMGの報告書には、不適正意見(Adverse opinion)や意見不表明(Disclaimer of Opinion)は含まれておらず、また監査の範囲又や会計原則において財務諸表に対する修正意見や限定付適性意見なども確認されていなかった」と記載されている。

ただLedgerinsightsは上場企業には四半期報告書の監査は義務付けられていないが、トライテラスは上場後初となる2020年11月までの四半期報告書は監査を受けていないことを気掛かりにしているようだ。

ちなみに上場企業の四半期報告書には監査法人の監査ではなく、レビューが求められている。監査は社内外から財務諸表に関する情報を集めて、その整合性を確かめ、保証するもの。レビューは、監査法人が社内の人に財務諸表に関して質問をし結果を報告書としてまとめるもの。

またトライテラス社は関連当事者取引をめぐる集団訴訟に直面しているだけでなく、空売り業者からの痛烈な報告書にも対応せざるを得ない状況とのこと。空売り業者は報告書を出すことで、トライテラス社の株価を下落させて、利益を生み出すように仕掛けている。そしてトライテラス社は、空売り業者に関しても取締役会が空売り報告書で提起されている疑惑について独立調査を開始することも発表した。

トライテラス社は「国際的に高い評価を受けている他の独立した会計事務所との契約について協議中です。また将来を前向きに捉えており、現在進行中の経営成長のための取り組みについても楽観視しております」とプレスリリースで結論づけている。

編集部のコメント

2020年12月17日にトライテラス社は、トライテラス社の顧客であり債務者でもあるロジウム社が債務再編を行う間、債権者からの保護を求めてシンガポールの裁判所に申請したことを発表しています。

新型コロナウイルスによって、貿易金融業界へ経済的ダメージが与えられ、債権者から債務者に対する破産要請などが発生していたようです。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStocks/Nobi_Prizue・keko-ka)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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