英エバーレッジャー(Everledger)がダイヤモンドマーケットプレイスの米レアカラット(Rare Carat)と提携しダイヤモンドのトレーサビリティを実現

英エバーレッジャーが米レアカラットとダイヤモンドのトレーサビリティ実現

年間2億ドル以上のダイヤモンドを販売する米レアカラット(Rare Carat)が英ブロックチェーン企業エバーレッジャー(Everledger)と提携し、レアカラットが運営するマーケットプレイスにおいて、ダイヤモンドのトレーサビリティを実現したことを1月12日発表した。

リリースによると、このトレーサビリティの実現にはエバーレッジャー社の最新バージョンのブロックチェーンプラットフォームが利用されているとのこと。

これによりレアカラットの顧客は、採掘から製造・販売まで追跡されたダイヤモンドであることを確認し購入できるようになった。また販売されているダイヤモンドが紛争の資金源となるものでなく、持続可能な方法で調達されたものであることも保証されるとのことだ。

レアカラットの最高執行責任者(COO)であるアペクシャ・コタリ(Apeksha Kothari)氏は「ダイヤモンドは透明性があるかもしれませんが、ダイヤモンドのサプライチェーンには必ずしも透明性があるとは限りません。レアカラットとエバーレッジャーのパートナーシップは小売店レベルに至るまで必要とされている透明性を向上させるための正しい方向への一歩となります。消費者はダイヤモンドの証明書へのアクセスが可能になり、ブロックチェーンを介してダイヤモンドを確実に追跡できるようになります。レアカラットの使命は、お客様に安心してダイヤモンドを購入していただくことです。その一環として倫理的な調達に関する信頼をお客様に提供しています。このような目的のためにエバーレッジャーとレアカラットは提携し、お客様にダイヤモンドの旅の真実の情報を提供できることを嬉しく思っています」とリリースにてコメントをしている。

編集部のコメント

エバーレッジャーは2015年4月にロンドンで設立された企業です。同社のプラットフォームは、IBMのエンタープライズ向けブロックチェーン「ハイパーレジャーファブリック(Hyperledger Fabric)」を利用しています。

エバーレッジャーがデジタル化しているデータは、ダイヤモンドだけにとどまらず、高級車、ラグジュアリー商品、アートなど多種にわたります。そして近年では社会的意義の高い事業にも取り組んでいます。なお同社は2018年に世界経済フォーラム(WEF)からテクノロジー・パイオニア賞を受賞しています。

また2019年にはアメリカエネルギー省から電気自動車のバッテリーリサイクルのためのブロックチェーンを試験的に導入するため資金提供を受け、ブロックチェーンのスタートアップであるサーキュラー(Circulor)とエシカルな調達基準について協力しています。

さらにエバーレッジャーは昨年2020年にイギリス政府が運営するFuture Fund(フューチャーファンド)と中国のテック企業Tencent(テンセント)から合計700万ドル(約7億4800万円)の融資を受けたことを発表しています。エバーレッジャー社はCOVID-19が大流行する中、ダイヤモンド産業の復興を支援するためEverledgerプラットフォームのアップグレードを併せて発表しています。今回レアカラットに導入されたプラットフォームはこの時に発表されたアップグレード版になると思われます。

なおダイヤモンドは多くの産出国にとって外貨獲得の貴重な資源となっていますが、内戦状態にある国から産出されたダイヤモンドの売却で得た外貨が、武器調達の資金として使われ、紛争を長期化・深刻化させる要因のひとつになっています。こうしたダイヤモンドは「紛争ダイヤモンド」と呼ばれており国際問題となっています。

コメント:大津賀新也(あたらしい経済)

(images:iStock/Jackie-Niam・Vdant)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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