EYとマイクロソフトがゲームパートナーやコンテンツクリエイター向けのブロックチェーン契約管理プラットフォームの拡張版始動

EYとマイクロソフトがゲームパートナーやコンテンツクリエイター向けのブロックチェーン契約管理プラットフォームの拡張版始動

EYとマイクロソフトがXboxのゲームパートナー、関連アーティスト、ミュージシャン、ライター、その他のコンテンツ制作者に関するロイヤリティ契約の追跡と管理が可能になるブロックチェーンソリューションの拡張版を開発し、稼働開始したことを12月14日に発表した。このシステムは拡張されたことで財務管理システムの役割を担うようになった。

マイクロソフトの目的は、Xboxゲームパートナー、アーティスト、ミュージシャン、作家、その他のコンテンツクリエイターのネットワークを利用して、ロイヤリティ契約のトラッキング、管理、支払い処理の可視性を高めることだ。一方、EYの目的は契約に基づくマルチパーティのキャッシュフロー分配を行っている企業間企業のクライアントが、同様のブロックチェーンプラットフォームを構築し、契約関連の計算や処理を自動化できるようにすることだ。

マイクロソフトは、拡張されたブロックチェーンソリューションが稼働したことで「1.Microsoft Azureをベースにした人工知能(AI)を活用して、契約書の電子化を加速し、より迅速な契約書作成を可能に。2.明細書と請求書をシームレスに生成し、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)アプリケーションと統合することで、スピードと可視性を高め、透明性を高めたロイヤリティの処理と記録が可能に。3.ブロックチェーン・プラットフォームから既存のERPアプリケーションに会計エントリを生成し、効率性と会計機能を向上させる。4.記録的な財務システムとして機能するためのソリューションの基準を満たすために必要なコントロールとコンプライアンス基準を組み込む」ことを支援できるようになるとリリースに記載されている。

またこのソリューションは、ゲーム開発パートナー全体でデジタル契約を使用したロイヤルティの計算を100%に近いリアルタイムで行うことで、処理時間を99%短縮できるようになるようだ。そしてこのソリューションはソフトウェア業界ではいわゆる「ソークテスト」と呼ばれる大量の使用量の下でのパフォーマンスをサポートするためのテストがなされており、1日あたり200万件のトランザクションを処理することができることが明らかになっている。

マイクロソフトのグローバルファイナンスオペレーション担当ゼネラルマネージャーであるルーク・フェウェル(Luke Fewel,)氏は「このソリューションが稼働開始したことで、ブロックチェーンとスマートコントラクト技術を活用したパートナー決済の第一ラウンドの生成に成功することができました。この拡張されたソリューションは、拡張性を備えた財務・業務プロセスの合理化に貢献し、手作業による重度のオーバーヘッドを削減し、マイクロソフトのゲームパートナーの体験を向上させることができます。私たちはロイヤリティのエコシステム全体にこのソリューションを拡大していくことを楽しみにしています。プロセスを改善し、現代的な金融の旅を継続していきます」とコメントしている。

EYグローバルブロックチェーンリーダーのポール・ブロディ(Paul Brody)氏は「ブロックチェーンは、企業間のやり取りをデジタル化する接着剤になる可能性があります。今回の稼働開始は、契約書のデジタル化から財務上の未収金の計上まで、自動化とサイクルタイムの圧縮のレベルを拡大し、その道のりへの大きな一歩となります。このようなブロックチェーン・ソリューションは、ポイント・ツー・ポイントの統合からエコシステムレベルの自動化まで、企業統合のハードルを上げるのに役立ちます」とコメントしている。

EYアメリカズ テクノロジー、メディア&エンターテイメント、通信部門リーダーのデーブ・パドモス(Dave Padmos)氏は「このブロックチェーンプラットフォームとロイヤリティソリューションは、ブロックチェーン技術を大きく活用した世界有数のブロックチェーンベースの金融システムを象徴しています。リアルタイムに近い透明性で信頼できるデータを維持する能力とアプリケーションに特化したプラットフォームの柔軟性を組み合わせることで、コストを削減し、信頼性を向上させることで、即時のビジネス価値を提供することができます。これは今後もあらゆる業界で注目すべきトレンドであり、ニーズが高まっていくことが予想されます。EYとマイクロソフトの協業は、組織が即時かつ長期的な価値を提供するために革新的な技術を適用する適応性の高いデジタル企業になることを可能にする変革的なソリューションを開発するためにチームを組む中で、アライアンスのもう一つのステップとなります」とコメントしている。

マイクロソフトのパートナー・エンジニアリング・マネージャーであるブラッド・ライト(Brad Wright)氏は「Microsoft Azure Blockchain Serviceを搭載したこのソリューションは、ロイヤルティプロセスを近代化しながら、ブロックチェーンネットワークを大規模に構築、管理、拡張する能力を実証するのに役立ちます。EYやゲームパートナーと協力して、このビジネスを合理化し、次に何ができるかを確認できることにワクワクしています」とコメントしている。

編集部のコメント

コンテンツ領域の著作権などを含めた権利関連のブロックチェーンユースケースとしては、中国アリペイ(Alipay)などの親会社であるアント・グループ(Ant Group)がブロックチェーンプラットフォーム「アント・チェーン(AntChain)」を利用したデジタル著作権サービスプラットフォームを10月22日に発表しています。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/incohre・Jackie-Niam)

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あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。 これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

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