LIFULLとSecuritizeのSTOスキームが不動産投資型クラウドファンディング「大家.com」の案件に導入

LIFULLとSecuritizeのSTOスキームが不動産投資型クラウドファンディング「大家.com」の案件に導入

国内不動産業者である株式会社プロスペクトが、同社連結子会社の株式会社グローベルスが運営する不動産投資型クラウドファンディング「大家.com」の第1号案件「Foresight(フォーサイト)南麻布」において、STO(Security Token Offering)スキームを導入することを12月11日発表した。

今回グローベルスが導入を決定したのは、株式会社LIFULLとSecuritize Japan株式会社が提供する不動産特定共同事業者向けのSTOスキームである。

この不動産特定共同事業者向けSTOスキームは「大家.com」に投資した投資家が持つ出資持分を投資家同士で売買できる仕組みとのこと。リリースによると、今までは投資商品に一度出資を行うと運用期間中は出資金がロックされてしまうため、運用期間終了まで出資持分を保有し続けなければならなかったとのこと。しかしこのスキームの導入によって運用期間中であっても出資持分を譲渡することが可能となり、投資家の資金流動性リスクの軽減につながるとのことだ。

このSTOスキームは12月14日より投資申込予定の「Foresight南麻布」(借地権付1棟収益ビル)に導入される。これにより「Foresight南麻布」の出資者は、匿名組合出資持分を表象するST(Security Token)の発行を受けることが可能となるという。また出資者は案件運用開始後、LIFULL及びSecuritizeが提供するプラットフォーム上でのST譲渡により、第三者への出資持分の譲渡が可能になるとのことだ。

なおこのSTOスキームを利用するためには(1)「大家.com」投資家登録の完了(2)対象案件の成立前書面の確認が必要となる。また匿名組合出資者が出資持分の譲渡を希望する際はグローベルスにセキュリティートークン(ST)の発行を依頼するとのこと。STが発行されたら出資者は持分の譲渡がブロックチェーン上で可能となるということだ<2021年3月下旬予定。出資持分を譲り受ける第三者も(1)と(2)の手続きが必要となる>。

株式会社LIFULL ブロックチェーン推進グループの松坂維大氏は本件について『コロナ禍においても世界中の投資家から注目される東京都心物件がデジタル証券化され、一般の投資家が小口で購入・売却できるようになることは新たな投資機会の創出になります。「大家.com」の 「だれでも・簡単に大家になろう」というコンセプトを実現すべく、1号案件からSTOを導入されたグローベルス社のチャレンジに協力させて頂けたことを嬉しく思います』とリリースにてコメントしている。

またSecuritize Japan株式会社のカントリーヘッド, ジャパンである小林英至氏は「セキュリティトークンという、海外では普及し始めている新たな技術の活用により、従来では難しい、より魅力的な投資機会を投資家に提供することが可能となります。今回の取り組みは日本における不動産市場の活性化の重要な一歩と考えられ、このような重要な機会にご一緒させていただいたことを嬉しく思います」とリリースにてコメントしている。

編集部のコメント

株式会社LIFULLとSecuritize Japan株式会社は今年8月に業務提携を行い、不動産特定共同事業者(不特法事業者)向けのSTOスキームの提供を開始しています。

この不特法事業者向けSTOスキームの主な特徴として以下3つが挙げられています。

(1)既存の不動産クラウドファンディングサイトへセキュリティトークン発行および譲渡機能を追加可能になる。つまり既存の不動産クラウドファンディングの出資持分発行にセキュリティトークン発行をリンクさせることで業務フロー等の変更を最小限にしてセキュリティトークン発行が可能。

(2)セキュリティトークンによる持ち分譲渡のデジタル完結が可能になる。つまり発行したセキュリティトークンを用いた投資家間の相対譲渡はイーサリアムパブリックチェーン上に記録される。譲渡先はスマートコントラクトにより制限され、匿名組合員以外への譲渡制限が可能。

(3)ブロックチェーン開発を必要とせず導入が可能になる。米国で多数のトークン発行実績を持つSecuritizeのDSプロトコルを用いて、発行操作等はSaaS型専用アプリケーションを利用するため、複雑なシステム開発は不要となる。

またこのSTOスキームにより、今年10月に株式会社エンジョイワークスのプロジェクトである「葉山の古民家宿づくりファンド」にて国内初の一般個人投資家向け不動産STOの実施を発表しています。

コメント:大津賀新也(あたらしい経済)

(images:iStock/nisaul-khoiriyah)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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