米下院にてステーブルコイン発行者を規制する「ステーブル(STABLE)法案」が提出
米下院議員のラシダ・トライブ(Rashida Tlaib)氏ら3名がステーブルコインの発行者を規制する法案を議会に提出したことを、トライブ氏の事務所が12月2日にプレスリリースにて詳細を発表した。なおこの法案「ステーブルコインテザリングおよび銀行ライセンス強制法(Stablecoin Tethering and Bank Licensing Enforcement Act)」は、通称「ステーブル(STABLE)法案」となっている。
トライブ氏によるとこの法案の目的は「FacebookのLibra(現Diem)や現在市場で提供されている他のステーブルコインなどの新しいデジタル決済手段によってもたらされるリスクから、発行および関連する商業活動を規制することによって消費者を保護すること」であるとのことだ。
同法案で提案されている具体的な規制内容は以下の4つである。
(1)ステーブルコインの発行者は銀行業ライセンスを取得する必要がある
(2)ステーブルコインの発行者は既存の銀行規制のもとで管理される
(3)ステーブルコインを発行する会社または銀行は、発行の6か月前にFDIC(連邦預金保険公社)もしくは適切な銀行代理店に通知し承認を取得する必要がある
(4)ステーブルコインの発行者は、発行された全てのステーブルコインを必要に応じて米ドルに変換できるように、FDICの保険に加入するか連邦準備制度に準備金を維持しておかなければならない。
ステーブル法案の提出者の1人であるヘスス・ガルシア(Jesús García)下院議員はプレスリリースにて「議会は、新しい金融技術と支払いツールが脆弱なユーザーを捕食しないようにする必要があります。ステーブル法案はまさにそれを実行します。つまり消費者を保護しながらイノベーションを取り入れます」と述べている。
一方で米ドルペッグのステーブルコインUSDCの発行を行うサークル(Circle)社のCEOジェレミー・アライア(Jeremy Allaire)氏はステーブル法案に関して「ステーブル法案はブロックチェーンと金融業界の進歩を制限しデジタル通貨イノベーションを大きく後退させるだろう」とツイートしている。
編集部のコメント
もしステーブル法案が可決され、正式に法律として施行された場合、米国のステーブルコインの発行者は銀行業ライセンスを取得しFDIC(連邦預金保険公社)から承認を得なければならないので、発行者の負担はかなり大きくなります。
なおこの法案で規制対象とされるのは米ドルペッグのステーブルコインとなるので、テザー(USDT)やジェミニドル(GUSD)なども規制の影響を受けることになります。
コメント:小俣淳平(あたらしい経済)
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