香港証券取引所(HKEX)がブロックチェーンベースの資産取引後決済プラットフォームを2021年に試験導入へ
香港証券取引所(HKEX)がデジタルアセット開発企業のデジタルアセット(Digital Asset)社の提供するスマートコントラクト言語「DAML」を活用した新しい取引後決済プラットフォーム「HKEX Synapse」を立ち上げる計画を11月24日に発表。
「HKEX Synapse」は2021年に試験的に導入され、2022年第1四半期に生産を開始する予定となっている。また香港証券取引所は預託信託クリアリング機構(DTCC)と提携し、「HKEX Synapse」を預託信託クリアリング機構のITP(Institutional Trade Processing)サービスに統合させる予定もあるようだ。
「HKEX Synapse」の開発目的は資産取引後のワークフローを標準化・合理化し、透明性、安全性、信頼性の高い方法で市場参加者の効率を最大化すること。資産運用会社、ブローカー、グローバルカストディアン、ローカルカストディアン、清算参加者は取引量の増加に対応するための資産への接続性の改善と能力強化の恩恵を受けることになる。
香港証券取引所の最高経営責任者であるチャールズ・リー(Charles Lee)氏は「HKEX Synapseは当社の最新のストックコネクトのイノベーションであり、世界の投資家がノースバウンド・ストックコネクトを介して取引を行う際に、大きな利益をもたらすでしょう。市場をさらに発展させるために新技術を採用することは、当社の戦略の礎であり、中国本土とのランドマーク的な相互アクセスプログラムを強化するために、預託信託クリアリング機構およびデジタルアセットと協力してこのエキサイティングな新しい強化に取り組むことができることを嬉しく思っています」とコメントしている。
デジタルアセットのCEO兼共同創設者であるユバル・ルーズ(Yuval Rooz)氏は「香港証券取引所は世界中の証券市場の水準を引き上げています。HKEX Synapseは従来のメッセージベースのアプローチでは対応できなかった資本市場の大きなビジネス上の問題を解決します。HKEX SynapseはDAMLスマートコントラクトを使用して、市場全体の情報をリアルタイムで自動化、更新、同期化することで、エラーを確実にキャッチし、例外を処理し、ノースバウンド・ストックコネクトが市場が求めるペースで成長し続けることを可能にします」とコメントしている。
編集部のコメント
ノースバウンド・ストックコネクトとは中国本土、香港の両方から人民元建てで株式の現物を購入できる制度です。香港証券取引所のリリースによれば、ノースバウンド・ストックコネクトの2020年第1~3四半期の1日平均売買高は、2019年の同時期に比べて2倍以上に増加し、約1兆4,000億円(900億元)に達しているとのことです。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
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