タイ証券取引委員会が自己資本規制を改正
タイの証券取引委員会がデジタル資産に関する自己資本規制(Net Capital Regulations)を改正したと11月18日にbankog postが報じた。
自己資本規制改正の目的は、証券会社やデリバティブ・ブローカーの流動性管理を強化し、タイの取引所の取引の急増をサポートするためのようだ。
タイ証券取引所(SET)とタイ先物取引所(TFEX)の取引はここ数週間で取引が急増していて、特に米国の選挙後、タイ証券取引所の取引額は1日で約5,680億円(1660億バーツ)に達し、タイ先物取引所の先物取引は1日あたり100万単位に増加している。これは通常の取引量から3倍近くに取引が増加している状態のようだ。
改正された自己資本規制はデジタルバンクや暗号資産(仮想通貨)取引所などの新規事業への参入を予定している証券会社の流動性の自由化につながると期待されているようだ。現在タイでは一部の証券会社が証券取引委員会へ暗号資産取引所事業への参入を相談しているとのこと。
改正された自己資本規制は、有価証券や先物取引が短期間に急激に増加した場合の自己資本の維持に代わる劣後ローンの利用を増やすことや、現預金債権のリスク価値を証券保証事業の引受リスクや債券投資のリスクに合わせて調整することなどが盛り込まれている。また証券会社がデジタルアセット事業を営み、顧客のためにデジタルアセットを保管している場合、自己資本規制では、コールドウォレットの資本金の1%以上(オフラインシステム)と、別のシステム(ホットウォレットまたはオンラインシステム)に保管されている顧客の資産の5%以上を保有することが義務付けられているようだ。
編集部のコメント
自己資本規制とは金融商品取引業者に対して一定以上の資本を持つように定められた規制のことをいいます。自己資本規制は証券会社の自己資本があらかじめ定められた水準を下回った時に業務停止などの措置を採ることによって破綻が他の金融機関に波及することを防ぐとともに、それによって顧客資産を保護することを意図していると日本証券経済研究所の「ネットキャピタル・ルールについて」のレポートに記載されています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStock/Алексей-Белозерский・LuckyStep48・Kateryna-Novokhatnia)