JPモルガンがブロックチェーン利用の銀行間情報ネットワークを「Liink(リンク)」にリブランド
米銀行大手JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co.)が、同行のブロックチェーンベースの銀行間情報プラットフォーム「IIN(Interbank Information Network)」を新しいブランド名である「Liink(リンク)」に改めることを10月28日に発表した。
このプラットフォームはJPモルガンが開発したイーサリアムベースのブロックチェーンであるQuorum(クオラム)をベースとして2017年に開発されたものであり、銀行間の決済に必要となる取引情報の整合性の確認を迅速に行うことを目的としている。JPモルガンの発表したリリースによるとLiinkには現在400の銀行が関与しており、日本からも三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行などの大手金融機関が参加しているとのこと。
またLiinkには新機能としてコンファーム(Confirm)とフォーマット(Format)という2つのアプリケーションが導入されるとのこと。コンファームは支払い前にアカウント情報の検証を行うことで不正行為を減少させ、フォーマットでは支払いメッセージの検証を行うことでメッセージが主要国の要件に合致しているかを確認できるとのこと。
JPモルガンはLiinkのリブランドの発表とともに、JPモルガンのブロックチェーン事業を総括する事業ユニット「オニキス(Onyx)」の設立を発表した。オニキスのCEOにはJPモルガンのブロックチェーンプロジェクトを主導してきたウマル・ファルーク(Umar Farooq)氏が就き、Liinkの推進もオニキスの下で行われるとのことだ。
編集部のコメント
JPモルガンは2016年からイーサリアムベースのブロックチェーンであるQuorumの開発を行っていましたが、今年8月にQuorumをブロックチェーン企業コンセンシス(ConsenSys)に譲渡し、JPモルガンはコンセンシスに対して戦略的投資を行っています。
またJPモルガンはLiinkとは別にJPMコインと呼ばれるデジタル通貨の開発を2019年2月から行っており、10月27日のCNBCにて「大手テクノロジー企業がJPMコインを利用したクロスボーダー決済を導入する」と報じられています。
コメント:小俣淳平(あたらしい経済)
(images:iStock/Tuadesk・Oleksandr-Hruts)