イーサリアム専門の開発企業コンセンシスがタイの中央銀行デジタル通貨(CBDC)のプロトタイプの実証実験に参加
イーサリアム専門のブロックチェーン開発企業米コンセンシス(ConsenSys)が、タイの中央銀行であるタイ銀行(Bank of Thailand:BOT)のCBDC(中央銀行デジタル通貨)プロジェクトの技術パートナーに選ばれたことを10月29日発表した。
コンセンシスはこのCBDCプロジェクトにおいて、タイ王室財産管理局が出資する王室系企業サイアムセメントグループ(SCG)とSCGの子会社デジタルベンチャーズとともに、タイ銀行が行うCBDCプロジェクトのプロトタイプの実証実験に技術パートナーとして参加をしたとのことだ。
なおレジャーインサイツの報道によるとデジタルベンチャーズは、6,400のサプライヤー企業が参加するB2Pのブロックチェーンソリューションをアクセンチュアと開発しており、タイ銀行のCBDCソリューションはこのB2Pソリューションのプラットフォーム上にてオンチェーンの決済テストを行うとのことだ。
コンセンシスのリリースによると、このプロジェクトのCBDCはERC20を用いてテスト発行するとのこと。またコンセンシスはタイのパートナーであるAtato社と提携し、コンセンシス開発のモジュール化されたデジタルファイナンスのオペレーティングシステム「Codefi(コーディファイ)」やデジタルウォレット「MetaMask(メタマスク)」を含むコンセンシスのエンタープライズイーサリアム(Ethereum)スタックを使用してCBDCのソリューションを構築するとのことだ。
またコンセンシスは同社開発のエンタープライズ向けEthereumクライアント「Hyperledger Besu(ハイパーレジャーベイス)」上の非公開ネットワークが、リテールCBDCの機能的要件と非機能的要件の両方を満たすように設計されているとも述べている。
なお実証実験完了後には、タイ銀行から報告書が提出される予定とのことだ。
編集部のコメント
タイ銀行(BOT)は2019年5月より共同CBDC研究プロジェクト「Project Inthanon(プロジェクトインタノン)」を開始しています。2020年1月にはこのプロジェクトの一環として香港金融管理局(HKMA)を始めタイと香港の銀行10行とともにクロスボーダーによるCBDC送金システムのプロトタイプの開発を行っています。なおこのプロトコルの開発には技術パートナーとしてR3も参加をしており、同システムにはcordaが基盤として利用されています。
またタイ銀行は一部の大企業との取引に中央銀行デジタル通貨(CBDC)を利用したことが7月に報じられています。
なおコンセンシスは現在確認できるだけで香港、シンガポール、南アフリカ、フランスの中央銀行と協力をしています。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/Guzaliia-Filimonova・Kateryna-Novokhatnia)