スイス国立銀行と国際決済銀行が2020年内に中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験開始か
スイス国立銀行(SNB)と国際決済銀行(BIS)が2020年内に中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験を行う計画があることを、BIS Innovation Hubの責任者を務めるブノワ・クーレ(Benoit Coeure)氏が10月25日に上海で開催されたバンド・サミット(Bund Summit)で明らかにしたことを中国のニュースメディア「The Paper」が報じた。
ブノワ・クーレ(Benoit Coeure)氏は「スイス国立銀行と国際決済銀行によるCBDCの実証実験はリテール型のCBDCに新たな道を開くと思います。また既存の決済システムとの接続を模索し、コンプライアンスを監視するのにも役立つでしょう」とコメントしている。
さらにブノワ・クーレ氏は「CBDCは革命や新時代をもたらすものでもなく、大きな社会問題を解決するものでもないでしょう。むしろより多様な決済エコシステムをサポートし、よりグローバルな公共財を提供するより良いお金の形になるでしょう」とコメントしている。
またBISは香港通貨庁やタイ銀行などその他の中央銀行とも協力して、デジタル通貨の国境を越えたユースケースの実証実験を行っていく計画があるとのことだ。
編集部のコメント
BISはカナダ銀行、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行、スウェーデン国立銀行、スイス国立銀行、イングランド銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)と共に中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関するレポートを10月10日公開しています。
このレポートのタイトルは「中央銀行のデジタル通貨:基本原則とコア機能(Central bank digital currencies: foundational principles and core features)」です。このレポートではCBDCが持つべき3つの原則を強調しており「(1)中央銀行はCBDCを発行することによって金融または金融の安定性を損なうべきではない。(2)CBDCは既存の形態のお金と共存し、補完する必要がある。(3)CBDCはイノベーションと効率を促進する必要がある」と示しています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
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