中国人民銀行がデジタル人民元発行を目的に銀行法改正の公開協議開始
中国人民銀行(PBoC)がデジタル人民元の合法化、人民元基軸のステーブルコインの流通を禁止することを目的とした現行の中央銀行法を改正するための公開協議の開始を10月23日に発表した。公開協議のための国民などからの意見募集は11月23日まで受け付けるとのこと。
中国人民銀行が公開協議開始と共に発表した中央銀行法改正案の第3項の第22条では「個人または法人は市場における人民元の流通に代わるトークン化された手形またはデジタルトークンを作成し、または発行してはならない。このような規制に違反した者に対しては、中国人民銀行はそのような活動を停止し人民元建てデジタルトークンの作成と販売から得た利益を没収し、関与した利益の5倍までの罰金を科す」と記載されている。
その他にも公開草案では「金融市場における法違反のコストが低いという問題に対処するため金融違反に対する罰則を強化し、重大な違反に対する罰則を2,000万元に引き上げることや、中国人民銀行の許可を得た機関に対して、営業停止、免許取り消し、市場への参入禁止などの罰則を課すことができる」と記載されている。
中国人民銀行はより効果的な金融政策や信用政策を実施するために、マクロ・プルーデンス管理に注力していくとのこと。マクロ・プルーデンス管理とは国の金融システム全体のリスクを分析、評価し、それに基づいて国家の制度設計や政策対応を行うことだ。
編集部のコメント
現在中国のデジタル人民元のテストは広東省深圳市や五輪会場など5カ所を実験エリアとして選定されています。深圳市では10月12から18日に抽選で選ばれた5万人の市民へデジタル人民元を付与して、買い物などの決済に使うテストを行いました。
日本経済新聞の報道によれば、市民の4万7,573人が1人200元(約3,100円)ずつ受け取り、合計876万4,000元の決済を終えたとのことです。そして今後は実験エリアを28箇所に拡大していくとのことです。デジタル人民元の発行準備が着実に進んでいることは明らかでしょう。現在のところ2022年の北京冬季オリンピックに合わせるとのことですが、正式ローンチは早まる可能性も考えられます。
(images:iStock/(Nerthuz・liuzishan)