デジタル証券プラットフォーム運営の米セキュリタイズ(Securitize)が証券基盤拡大を目的にDTMを買収

デジタル証券プラットフォーム運営の米セキュリタイズ(Securitize)が証券基盤拡大を目的にDTMを買収

デジタル証券のプラットフォームを運営するセキュリタイズがディストリビューティッド・テクノロジー・マーケッツ(Distributed Technology Markets:DTM)を買収するための最終契約を締結したことを発表した。DTMは米国証券取引委員会(SEC)および米金融取引業規制機構(FINRA)登録のブローカー・ディーラーで代替取引システム(Alternative Trading System:ATS)の提供を行っている。DTMは2020年にデジタル証券を含む私募証券のプライマリー発行とセカンダリー取引所提供の認可を取得している。
またセキュリタイズはマネートランスミッターのライセンスを持ちマネーサービス事業を展開するVelocity Platformも買収する予定とのことだ。

なおATSとは「組織、社団、個人、個人のグループ、またはシステムで、(1)複数の買い手及び売り手の証券取引注文を結び付け、またはその他の歩法で証券に関して証券取引所法規則3b-16に規定された意味で取引所が一般的に果たしている機能を果たす市場や施設を設立、維持、提供するもので、(2)(i)そのような組織、社団、個人、個人のグループ、またはシステムでの取引行動以外の参加者の行動を監督する規則を設定せず、(ii)取引から排除すること以外の懲戒処分を行わないもの」と野村資本市場研究所のペーパーでは記載されている。

SecuritizeのCEO兼共同創業者カルロス・ドミンゴ氏は「DTMの買収により、Securitizeはプライベート資本市場向けの一連のサービスを展開できるようになります。発行体と投資家の間のやりとりを大幅に改善し、現在の市場にあるどのサービスより、全てにおいて優れた顧客体験を実現できるようになるでしょう」とコメントしている。

DTM CEOクリス・ウィッテンボーン氏は「プライベートマーケットでの証券発行と二次流通の領域には莫大な事業機会が眠っています。業界をリードするSecuritizeと提携することで、この未開拓な市場でのビジネスを効率的に拡大することが可能になります」とコメントしている。

またSecuritizeのブログでは「民間資本市場(Private capital markets)は公開資本市場(Public capital markets)よりもはるかに規模が大きく成長速度も速いが、そのほとんどが非流動性のものです。世界取引所連合(World Federation of Exchanges)によると、2019年のプライベート資本市場の調達額は300兆円($2.9Trilion)で、150兆円($1.4Trilion)で公開資本市場の2倍以上となっており、2020年にはIPO市場の急成長と特別買収目的会社(SPAC)の台頭にもかかわらず、その傾向は続いてます。公開資本市場は年率3,300兆円($33Trilion)の出来高取引で極めて流動性が高いのに対し、民間資本市場は年率1,000億円($0.1Trilion)の出来高取引にとどまり、330倍という驚異的な流動性を誇っています」と記載されている。

編集部のコメント

Securitizeは2017年に設立されました。これまで150社以上の顧客と契約しており、Securitizeの提供するデジタル証券の発行・ライフサイクル管理プラットフォームは4万人以上の投資家に利用されているとのことです。SecuritizeはこれまでSantander InnoVenture(現Mouro Capital)、MUFG、野村ホールディングス、SBI、ソニー・フィナンシャル・ベンチャーズ(SFV)など、世界有数の金融機関から約30億円(3,000万ドル)以上の資金調達を行ってきています。さらにSecuritizeは、Algo Capital(Borderless Capitalに改名)、BlockchainCapital、Blockchain Ventures、Fenbushi、Kinetic、SPiCE VC、Tezos Foundationなどのブロックチェーン業界で著名な投資家から投資も受けています。民間市場の方が公開市場より規模は大きいですが、流動性が低いということは価値ある証券が流動できていないと考えられます。その理由の1つに紙ベースの契約、プロセス管理が挙げられています。その2つの課題を解決すべくSecurizieはデジタル証券プラットフォームを拡張し、民間市場証券の流動性を高めていくのだと考えられます。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/antoniokhr)

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あたらしい経済 編集部

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