IBMやアクセンチュアらがタイのブロックチェーン基盤の電子保証状(eLG)プラットフォームの機能拡張を発表
IBMとタイのブロックチェーン・コミュニティ・イニシアチブ(Blockchain Community Initiative:BCI) が、電子保証状プラットフォーム(electronic letter of guarantee platform:eLG)を規模に関係なくすべての事業者が利用できるようにすることを9月30日に発表した。なおアクセンチュアもプロジェクトのコンサルタントの役割として参加している。
BCIは2018年にタイの大手銀行6行が株主として結成されているコンソーシアム。現在BCIにタイの22の銀行と15の民間企業が参加し、BCIは企業のオークションやその他のタイ国内取引手続きのための支払い義務をサポートしている。またBCIのプラットフォームは2019年後半に稼働し約317億円の保証書を取り扱っていて、会員企業は取引コストが200%削減したと報告する企業も存在する。
電子保証状(Leter of Guarrantee:L/G)とは貿易取引において当事者間で損害が発生しうる場合に、一方が金融機関の保証を受けて発行する電子の保証状のことである。ちなみにタイでは毎年50万通以上の保証状が発行されており、4兆5,620億円相当の規模があるとのことだ。
BCIの取締役会長であるSilawat Santivisat(シラワット・サンティヴィサット)氏は「ブロックチェーン・プラットフォームは、将来的に海外市場に成長するためにハイブリッド展開モデルを使用するという当社のロードマップに沿ったものであり、BCIにとって意義のあるものです。Letter of GuaranteeはBCIが提供する最初のサービスに過ぎません。近い将来より多くの製品が追加される予定です。またこのプラットフォームはBCIがより多くの企業にスピードと効率性をもたらすだけでなく、サービス提供を拡大していくための強力な基盤となります。ブロックチェーンは多業種接続プラットフォームにとって重要な要素です。 ブロックチェーンは企業がプロセスや非効率性を再考することを可能にし、スケーラビリティ、セキュリティ、マルチクラウド機能を提供する適切なパートナーとテクノロジープラットフォームがあれば、これらのネットワークは環境や地域を超えて効率的に成長することができます」とコメントしている。
BCIの社長であるシリワット・ケチャチャロエンシン(Siriwat Keatcharoensin)氏「Hyperledger Fabric v1.1からHyperledger Fabric v1.4 LTSへの大規模なアップグレードは、ビジネスプロセス、セキュリティ、ガバナンス、コンプライアンス、技術リソースの改善に参加している15の事業体すべてが緊密に連携し、数ヶ月に及ぶ準備と多大な努力を必要とし、ビジネスと技術面で大きな課題となりました。IBMチームの強力なコミットメントとBCIへの卓越したサポートにより、このグローバルなベストプラクティスへのアップグレードはダウンタイムゼロで大成功を収めました。IBM Blockchainを技術基盤とし本日達成したイノベーションのマイルストーンにより、BCIのeLGプラットフォームに新しいメンバーを迎え入れ、タイの商取引に最大限の効率性をもたらす準備が整いました」とコメントしている。
タイIBMのインドシナ・エクスパンション担当副社長兼マネージング・ディレクターであるパタマ・チャンタラック(Patama Chantaruck)氏は「IBMはBCIとその成長するコンソーシアムが、タイの金融取引を実行する上での重要な課題の1つに対処するために安全性の高いIBMクラウド環境上でブロックチェーン技術を利用することを支援できることを誇りに思います。2016年にIBM Garage for Cloudでタイの銀行コミュニティのメンバーによって初めて開発されたこのプラットフォームは、銀行とノンバンクのエコシステム・プレイヤーを迅速かつ効果的に結びつけるためのベストプラクティスを取り入れています」とコメントしている。
編集部のコメント
タイと同様にブロックチェーン技術を使って保証状システムの改善に取り組むことを目指している国としてイタリアが挙げられます。今年初めイタリアの財務警察を含む30のイタリアの銀行や組織が、ブロックチェーンを活用したデジタル保証プロジェクトを推進するためのコンソーシアムを結成しています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStock/Who_I_am・Zapp2Photo)