(アンダーソン・毛利・友常法律事務所の長瀨威志弁護士のコメント追記)米国初!ワイオミング州でデジタル銀行「クラーケン・フィナンシャル」が誕生

米国初!ワイオミング州でデジタル銀行「クラーケン・フィナンシャル」が誕生

アメリカの暗号資産(仮想通貨)を運営するクラーケン(Kraken)がアメリカのワイオミング州より「クラーケン・フィナンシャル(Kraken Financial)」の設立申請を認可されたことを発表した。

クラーケン・フィナンシャルは、連邦法および州法で認められた銀行認可を受けたアメリカ史上初のデジタルアセット企業となる。またクラーケン・フィナンシャルはデジタルアセットの包括的な預金引取、カストディ、受託サービスを提供する規制対象のアメリカ初の銀行となる。

具体的にクラーケン・フィナンシャルは、暗号資産での請求書の支払いや給料の受け取り、投資や取引ポートフォリオへのデジタル資産の組み込みまで、アメリカの顧客がデジタル資産と各国通貨の間でシームレスに銀行取引を行うことを可能にしていく。

クラーケン・ファイナンシャルの最高経営責任者であるデビッド・キニツキー(David Kinitsky)氏は「当社の理念や価値観と非常に合致した州で働けることに感激しています。ワイオミング州は、思慮深い規制がいかにしてフィンテック企業のイノベーションを促進できるかを示す稀有な例です」と発表文にコメントしている。

発表文によると、クラーケン・フィナンシャルは1年目にデジタル資産のカストディ 、要求払い預金口座・当座預金口座、電信送金、資金調達などのサービスを開始する予定とのこと。そして将来的には一般ユーザーのニーズを満たすべく、信託勘定、デビットカード、資金証明、預金の確認などのサービスを展開していく予定とのことだ。

追記(9月18日午後12時30分)

あたらしい経済編集部はアンダーソン・毛利・友常法律事務所の長瀨威志(ながせたけし)弁護士へ取材を行った。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所の長瀨威志(ながせたけし)弁護士へ取材

ーアメリカ連邦法、州法で認められたデジタル銀行が誕生しましたが、日本で同様の銀行を生み出すためには、どのような課題があるのでしょうか。またどのように解決するべきなのでしょうか。

銀行業に関するガイドラインである、「主要行等向けの監督指針」V-6において、銀行グループが暗号資産を取得・保有することについて極めて慎重な対応が求められており、米国のように銀行が暗号資産を保有すること自体、事実上、極めて困難と思います。

信託銀行等による暗号資産の信託を禁止した兼営法施行規則に係るパブコメ回答No.253等にあるように、少なくとも今のところ、金融庁は暗号資産はマネロンのリスクが高く、不正流出などのリスクも高いことから、伝統的な金融機関が取り扱うことにはとても消極的な態度といえます。

いずれ海外の動向に倣って規制が緩和される可能性はあると思いますが、暗号資産に対するネガティブな反応を克服するためには、暗号資産を安全に管理するためにセキュリティ技術を向上させるとともに、追跡性を高めマネロンリスクを軽減した上で、該当のガイドラインや兼営法施行規則の見直し等が必要になると思います。

編集部のコメント

クラーケンが銀行免許を取得した理由は、クラーケンのビジョンを実現するためだと伝えています。クラーケンのビジョンはクリプトエコノミクスと既存の金融エコシステムをつなぐ世界中で信頼される架け橋となることです。

発表文では「デジタル銀行運営の認可を得ることで、サードパーティーの金融機関に取引業務などを依存することなく、ユーザーの利益のためだけに独立した立場で銀行業務を遂行できるようになるでしょう」と伝えられています。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/Andrey-Suslov・Elen11)

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あたらしい経済 編集部

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