暗号資産取引所を運営するフィスコが米カリフォルニア州でバイナンスを提訴

暗号資産取引所を運営するフィスコが米カリフォルニア州でバイナンスを提訴

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)がフィスコ株式会社から、2018年のフィスコが運営するZaifのハッキングにより盗まれた900万ドル以上の暗号資産のマネーロンダリングを助長したとして、アメリカのカリフォルニア州の裁判所に9月14日に提訴されたと9月15日にThe Blockが報じた。カリフォルニア州はフィスコの提訴をロングアーム法に基づき取り扱った。ロングアーム法は被告となる者が当該州に所在していない場合も、被告がその州に最小限度の関連がある場合、当該州の裁判所に裁判管轄が認められるとするアメリカの各州における立法の通称である。

フィスコはカリフォルニア州北部地区裁判所に33ページに及ぶ訴状を提出し、バイナンスのゆるいKYCポリシー(”lax” know-your-customer)により、サイバー犯罪者が暗号資産取引所Zaifから盗まれた暗号資産を他の暗号資産や現金に変換することが可能になったと伝えた。

フィスコの訴訟文には「バイナンスのKYCとアンチマネーロンダリング(AML)プロトコルは驚くほど緩く、業界標準に達していない。具体的にはBinanceのKYCポリシーにより、新規ユーザーは意味のある身分証明書を提供することなく、2BTC以下の金額で口座を開設し、取引所で取引を行うことができる。つまりバイナンスは犯罪資金の受け皿であると同時に発信者である。」と記載されている。

さらに「2019年に犯罪者団体から暗号資産取引所に移動した約28億ドルのビットコインのうち、バイナンスが不正ビットコイン総額の27.5%を受け取ったと推定されており、これは世界のどの暗号資産取引所よりも多くなっている」とも伝えている。

フィスコは陪審員裁判を求めており、バイナンスから900万ドル以上の賠償金を求めているとのこと。900万ドル以上とは、ハッキング時からの利息と財産を追求するために費やした時間とお金に対する公正な補償に見合う額とのことだ。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/stockdevil・PhonlamaiPhoto・Максим-Ивасюк)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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