仏ルノーが車両部品のコンプライアンス認定のためのブロックチェーンを活用したトレーサビリティプロジェクトのテスト完了
仏自動車メーカーであるルノーグループが、設計から生産に至るすべての自動車部品のコンプライアンスを認証するためのブロックチェーンプロジェクト「エクシード(XCEED:eXtended Compliance End-to-End Distributed)」のテストを完了したことを9月10日発表した。
「エクシード」は2019年より開始されたプロジェクトで、自動車産業に関わるルノーのパートナー企業(Continental、 Faurecia、 Plastic Omnium、Saint-Gobain)によって共同で進められている。
EUでは9月1日より自動車の市場監視に関する規制が施行されており、自動車メーカーは規制へのコンプライアンス対応の為にサプライチェーン全体の構造の調整に迫られている。今回のテストはこの規制に対応する取り組みの一環となる。
「エクシード」ではIBMの支援を受け、エンタープライズ向けブロックチェーン「ハイパーレッジャーファブリック(Hyperledger Fabric)」が採用されているとのこと。これにより各当事者はデータと機密性を管理したうえで、必要に応じて情報をリアルタイムで共有が出来るとのこと。
今回完了を発表した「エクシード」テストは仏のドゥエー(Douai)工場で行われたとのこと。テストでは100万件以上の文書を保存し、1秒間で500件のトランザクションの処理を行ったとのことだ。
編集部のコメント
ちなみにルノグループは「エクシード」の他に、2018年に自動車メーカー、モビリティ(自動車メーカーをはじめ、関連する企業を含めた自動車業界のこと)企業、テクノロジー企業を含む80以上の企業・団体で構成された業界横断的なイニシアチブ「Mobility Open Blockchain Initiative(MOBI)」に参画しています。
この「MOBI」はブロックチェーンやDLT技術を活用して、モビリティサービスをより効率的にすることを目標にし「電気自動車(EV)と電力供給網の統合」「金融・証券化・スマートコントラクト」「サプライチェーン」などの必要なテーマごとに参加メンバーがワーキンググループを組織しています。
なおMOBIに参加している自動車メーカーはルノーの他、TOYOTA、HONDA、BMW、Ford、General Motors(ゼネラルモーターズ)、HYUNDAI(ヒュンダイ)などで、MOBIに参加している主なブロックチェーン企業はConsensys、Enterprise Ethereum Alliance、Hyperledger、R3、Rippleなどです。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/stockdevil))