国際商業会議所(ICC)がデジタルスタンダードイニシアチブ(DSI)の運用開始を発表
国際商業会議所(International Chamber of Commerce / ICC)がデジタル・スタンダード・イニシアチブ(Digital Standards Initiative / DSI)の運用開始を発表した。なおDSIはICCのシンガポールハブによって運営されるとのこと。
あわせてICCはDSIのマネージングディレクターにOswald Kuyler(オズワルド・カイラー)氏を任命した。カイラー氏は世界最大の総合鉱業会社であるBHP社からICCに入社し、ブロックチェーン技術、貿易金融における電子文書化、データ分析、プロセスの自動化など、さまざまな分野のイニシアチブを率いてきた実績を持つ。
DSIは世界的に調和がとれたデジタル化された貿易環境を確立するという野心的な目標に向かって活動していくとのこと。
ICCは「パンデミックの影響で職場でのデジタル技術の採用が加速していますが、貿易関連プロセスのデジタル化には大きな障壁が残っています。時代遅れの規制環境では国境を越えて取引を行う際には、現地の法的要件を満たすためにハードコピーの文書を使用しなければならないことが多く、また業界のイニシアティブがサイロ化されており、互換性がないことが多いためにコストがかかることから、中小・零細企業がデジタルシステムを採用するのは難しいとされています」と現状の課題について言及している。
ICCの事務局長を務めるJohn W.H. Denton AO(ジョン・デントン)氏は「新型コロナウイルスは紙ベースのプロセスに依存した世界貿易の本質的な脆弱性を明らかにしました。危機からの回復力のある再建は、グローバルな貿易エコシステムの全面的なデジタル化の上に築かれなければなりませんが、このプロセスを推進するには、DSIが他に類を見ない立場にあると私たちは考えています。多くの中小企業がパンデミックの影響を乗り切るのに苦労している中、デジタル技術がグローバル市場へのアクセスを真に民主化できるようにするためには、DSIの下でパートナーとの作業を加速させることが絶対的に必要だと考えています」コメントしている。
Asian Development Bank(アジア開発銀行)でサプライチェーン・ファイナンス部長を務めるSteven Beck(スティーブン・ベック)氏は「デジタル化は、雇用、開発、繁栄を生み出すグローバルな貿易とサプライチェーンを強化するために不可欠です。アジア開発銀行はこの重要な目標を達成するために必要なデジタル基準とプロトコルを作成するために、ICCおよびシンガポール政府とパートナーを組むことができ、大変喜ばしく思っています」とコメントしている。
編集部のコメント
発表文によるとDSIは130カ国以上のICCのネットワークを通じた業界団体、企業、技術専門家とのオープンで包括的な協議を通じて、また主要な国際機関や政府とのパートナーシップを通じて展開されていくとのことです。営利目的でないグローバルコンソーシアムがデジタル化の動きを促進させることは非常に意義深いことだと考えられます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
(images:iStock/Jackie-Niam)