LayerX Labsが東工大の首藤研究室とブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムに関する共同研究開始

LayerX Labsが東工大の首藤研究室とブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムに関する共同研究開始

株式会社LayerXの研究開発組織「LayerX Labs」が東京工業大学情報理工学院の首藤研究室とブロックチェーンの基盤であるコンセンサスアルゴリズムに関する共同研究を開始したことを8月28日発表した。

首藤研究室はブロックチェーンについてネットワークの側面から取り組む数少ない研究者である東京工業大学准教授である首藤一幸(しゅどうかずゆき)氏の研究室。同氏はスタートアップ企業の取締役最高技術責任者としてpeer-to-peer映像配信技術の開発と事業化を行うなど、幅広く深い知識と経験を有する人物であるとのこと。

またLayerXのコンセンサスアルゴリズムに関する研究は、Ethereum(イーサリアム)のプロトコルアップグレードプロジェクト 「Ethereum 2.0」に複数の提案が仕様として採用され、またEthereum(イーサリアム)のProof-of-Stake(PoS)向けプロトコルである「CBC Casper」に関して世界で初めて査読付き国際学会にて論文を発表するなど、世界的な成果を残している。

この共同研究では首藤研究室が開発するパブリックブロックチェーンのシミュレータ「SimBlock」を活用し、「CBC Casper」を始めとする最先端のコンセンサスアルゴリズムの安全性や性能の分析を行うとのこと。

首藤一幸准教授は今回の共同研究について『ブロックチェーンによって、データだけでなく「価値」が載るようになったインターネットの新たな可能性に、世界中が注目しています。そこで先端を走るLayerXメンバーの問題意識、および、Ethereum 2.0に対するコミットメントは世界でもトップレベルです。そこに我々の分散システムについての知識と経験を合わせることで、短期~中期の産業的な貢献にとどまらない、長期の学術的な人類社会への貢献を強力に進めていきます』とコメントをしている。

編集部のコメント

「CBC Casper」とはEthereumコミュニティで提案された合意形成プロトコル及びそれをベースにしたProof of Sake (PoS) プロトコルです。同プロトコルは攻撃耐性、効率性、インセンティブ設計、柔軟性など様々な点で従来の提案を上回ると期待される一方で未だ課題が多く、LayerXは2018年12月よりCBC Casperの研究に取り組んでいます。また同プロトコルは、Ethereum共同創業者のVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏をはじめ様々な研究者がEthereumへの将来的な導入を期待しているとのことです。

また「SimBlock」はブロックチェーンネットワークをPC上で模擬して性能や安全性を検証できるパブリックブロックチェーンのシミュレータで、インターネット上の多数のノード(サーバ)から成るブロックチェーンネットワークを模擬するソフトウェア。「SimBlock」は一般的なPC上で動作し、1万台近くに達するノード群の、インターネット上での振る舞いをシミュレートできるとのことです。技術者・研究者はこの「SimBlock」を用いることで、Bitcoinなど既存ブロックチェーンの改良や、また自ら考案したブロックチェーンを手元のPC上で試すことができるということです。なお首藤研究室が開発した「SimBlock」は2019年6月にオープンソースソフトウェアとして公開、無償配布を開始しています。

コメント:大津賀新也あたらしい経済)

(images:iStock/nisaul-khoiriyah・graphicnoi)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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