日銀が中央銀行デジタル通貨(CBDC)検討のためグループを新設
日本銀行が7月20日付で「デジタル通貨グループ」を同行決済機構局に新設したことをロイターなどメディア各社が報じた。
「デジタル通貨グループ」はデジタル通貨発行の課題を探る専門組織として、中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)を発行する際の技術的な課題や法制度上の問題点を検討していくとのことだ。民間を含めた決済システム全体の課題も調べるとのこと。なお「デジタル通貨グループ」のグループ長には奥野聡雄(おくのあきお)審議役が就任する。
日銀は今年1月に、欧州中央銀行(ECB)を含む複数の中央銀行とともにCBDC研究のための共同研究グループを発足している。また2月には決済機構局内にCBDCの研究チームを立ち上げ、7月2日には同研究チームよりCBDCの実用化に向けた技術課題についてのレポートを発表している。
さらに7月17日に閣議決定された経済財政運営の指針「骨太の方針」において中央銀行デジタル通貨が初めて取り上げられ、「日本銀行において技術的な検証を狙いとした実証実験を行うなど、各国と連携しつつ検討を行う」と明記されたことが明らかになった。
また報道によると、CBDCは技術的な課題に加え金融政策や金融システムに甚大な影響を及ぼす可能性が強く、「研究は進めるが早期発行は難しい」と日銀幹部が話しているとのことだ。
編集部のコメント
FacebookのLibra計画、中国のデジタル人民元(DCEP)発行計画を受けて、各国の中央銀行はCBDCに関心を向けざるを得ない状況となっており、今年に入って日本のみならずアメリカ、韓国、イギリスなどでもCBDCの研究開発体制が急速に整えられています。
コメント:小俣淳平(あたらしい経済)
(images:iStock/pgraphis・paitoonpati・stockdevil)