国際半導体製造装置材料協会(SEMI)がブロックチェーンによる半導体の供給網管理システム構築へ
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の主導により、半導体業界が製品の製造履歴や納入先の把握のためにブロックチェーンを活用したサプライチェーン管理システムの開発に乗り出したことを7月9日の日本経済新聞が報じた。
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は現在2,000社以上が参加する半導体関連企業の国際業界団体だ。
日経新聞の報道によるとSEMIが主導するシステム開発には、この団体に加盟する企業のうち900社がルール作りを進め、2021~22年の実用化を目指すとのことだ。
今日、半導体は自動車や医療機器などに幅広く使われるようになっており、品質管理の重要性が増しているとのこと。また半導体や電子部品の製造プロセスは国際的な分業が進み、企業が単独で全体像を把握するのが難しいということだ。メーカー名や品質を偽るなどした米製半導体の偽造品の流通総額は年間約8,000億円に達するとの調査もあるとのこと。
SEMIは今回開発を進めるシステムを利用することで、半導体製品の製造履歴や納入先を把握し、偽造品や環境問題を抱えるものを排除することを目指す。
このシステムでは製品や半導体製造装置に管理用のラベルを貼り付け、このラベルにより製品がどこに出荷され、どの製造装置で加工されたかなどを把握するという。これにより企業はこのシステムにアクセスすることで、自社に正しい部品が納入されているかを確認できるということだ。
またこのシステムは、半導体や電子部品関連の企業で構成するコンソーシアム(共同事業体)が運営するとのこと。
そして今後SEMIは、半導体の搭載が増える自動車などの別の業界団体と共通してこのシステムを使うことも模索するとのことだ。
編集部のコメント
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は、1970年にアメリカのカリフォルニア州で設立された団体です。当初は北米地域の半導体関連企業の工業会でしたが、アジアで半導体産業が台頭してきたことから1987年に国際組織となりました。
SEMIの会員は半導体製造装置関連の企業だけでなく、薄型ディスプレー、発光ダイオード(LED)、太陽光発電、ナノテクノロジーなどに関連した製造装置、材料、サービスを提供する企業も会員となっているとのことです。
なおSEMIの理事会メンバーには日本企業からJSR株式会社の取締役会長である小柴満信氏、村田機械株式会社の代表取締役社長である村田大介氏、株式会社ニコンの取締役会長である牛田一雄氏が参画をしています。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
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