中西金属工業株式会社がブロックチェーン技術を活用の物流倉庫向け「配送システム」開発に着手

中西金属工業株式会社がブロックチェーン技術を活用の物流倉庫向け「配送システム」開発に着手

中西金属工業株式会社(NKC)がブロックチェーン技術を活用した物流倉庫向け「配送システム」の開発に着手したことを7月3日発表した。

中西金属工業株式会社は1941年に設立された大阪を拠点とする企業で、ベアリング・リテーナー・コンベア及び自動制御装置や精密金型・無人搬送車などの製造販売をしている。今回発表された「配送システム」の開発は、同社のコンベア・物流など倉庫自動化サービスを提供する輸送機事業部が行っていくとのことだ。

発表によると物流の現場では、紙の伝票のやりとりや配送物の受け渡し時のサインなどアナログなオペレーションが未だ多く見受けられ、荷物状況のステータス確認が困難で、荷受/納品責任範囲が曖昧となっているとのこと。また人の手による伝票の記入ミス、請求時の車両と荷物の突合にも時間がかかり課題となっているとのこと。さらに「発注」から「納品」に至るフローの中では、「注文」「生産/製造」「保管」「手配」「出荷」「配送」「納品(受け取り)」など様々なステップが踏まれ、一つ一つ関わる業者が違うことから個別の煩雑な業務に追われている現状があるとのこと。

そこで中西金属工業は物流現場にブロックチェーン技術を導入することで、スマートコントラクトによって物流現場における荷物の受け渡し時に契約の成立・責任の所在を明確にし、各プレイヤーによる現在のステータス確認も容易に行えるようにするとのこと。

また「手配」~「納品(受け取り)」についてもブロックチェーンによるデジタル管理することで、配達中の責任の所在を信頼性の高い情報として保持しつつ、手入力のミスの軽減、不正配送の撲滅、煩雑な伝票管理の軽減を目指すとのことだ。

中西金属工業は9月に予定しているNKC輸送機事業部滋賀工場での実証実験開始に向けてシステム開発を行い、11月にはβ版のサービスの提供を目指すとのことだ。

編集部のコメント

あたらしい経済編集部が中西金属工業株式会社へ問い合わせを行ったところ、「配送システム」の開発には株式会社INDETAIL(インディテール)のブロックチェーン技術が利用されるとのことで、中西金属工業の要望に合わせシステム開発が行われるとのことでした。

株式会社INDETAILはTIS株式会社と過疎地域などにおける次世代交通・エネルギー問題の解決に向けた手段を提供する「ISOU PROJECT(イソウ・プロジェクト)」を8月19日から12日間、北海道檜山郡厚沢部町にて行っています。この実験ではブロックチェーンで地域通貨を発行し、住民はその地域通貨でEVバスを利用する実験で、新たに開発したMaaSプラットフォーム、移送サービスに使う電気自動車(EV)、現地に設置する地域通貨発行端末、乗車時に必要なスマートフォンアプリやICカードなどを町に無償貸与して実施しました。

またINDETAILは昨年6月に、北海道電力株式会社とブロックチェーン技術を用いたEVスタンドのプラットフォーム構築に関する共同研究を実施しています。この共同研究は今後の電気自動車およびプラグインハイブリッド車の普及拡大に伴い、EV等の充電設備(EVスタンド)が重要な社会インフラになることを見据え行われています。

なお物流×ブロックチェーンについては、ニトリホールディングスの物流事業を行う株式会社ホームロジスティクスが、今年2020年秋にも新たにブロックチェーンを使った物流システムを稼働することを4月8日に日経新聞が報じています。この物流システムはAIによる配送ルート策定や在庫管理の高度化など約500の機能を開発し、運送会社に導入を促すとのことで、開発費用は数億円になるとのことでした。なおブロックチェーンの設計は株式会社LayerXが行っています。

コメント:大津賀新也(あたらしい経済)

(images:iStock/antoniokhr・dalebo)

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