ブロックチェーンセキュリティ企業Basset(バセット)が暗号資産(仮想通貨)リスク分析APIをリリース
ブロックチェーンセキュリティー企業「Basset」が、暗号資産(仮想通貨)事業者や開発者に向け、AML/CFT(資金洗浄およびテロ資金供与の対策)リスクを自動評価するAPIをリリースしたことを発表。このAPIのリリースの目的はサービス利用者が安全な取引を実施できるようにすることとのことだ。
Bassetはブロックチェーン、暗号資産関連のスタートアップでもこのAPIを利用できるようにするために、初期導入費用をなくし従量課金モデルを導入している。
この暗号資産リスク分析 API は無料、ベーシック、プロ、の3 種類の価格体系で提供される。 無料:APIの利用、ブロックチェーン情報の取得。 ベーシック(1取引50円):APIの利用、リスクスコア取得。 プロ:1取引100円:APIとブラウザ、リスクスコア、スコア内訳、取引グラフ、ケース管理などを取得する。
なおこのAPI は、暗号資産を扱うプラットフォームに対して利用者から入金・出金要求があった際に資金の流れの健全性を毎回チェックするために使われることを想定しているとのことだ。
追記開始:7月3日18時
あたらしい経済編集部は株式会社 Basset 代表取締役の竹井 悠人氏へ取材を行った。
ーコンソーシアム・パブリックチェーンを含め、現状のAML/CFTはどれほどのレベル感だと考えられますか?金融業界のレベルと比べて、説明してくださいませ。
現状のコンソーシアム・パブリックチェーンを含めて、AML/
結論から申しますと、AML/CFT への意識の大小は「メガバンク3行 > 暗号資産業界 > 地方銀行」 となります。これら3つそれぞれのポイントを伝えていきます。
メガバンク3行は、非常に意識も実際の運用もレベルが高い グローバルなシステム上重要な銀行 (G-SIBs) に指定されている中、 世界の決済におけるハブとしての役割を金融庁からも長らく期待されてきました。 FATF の対日審査の点数などを通して、国際社会から日本には以前から強いプレッシャーがかかっていたので、 金融庁としては国としての面目を背負う中、メガ銀行に対しては厳しい指導を入れてきたとも聞いています。 したがって、AML/CFT に対しては、その厳格さ・技術・経験・意識すべての観点で、メガバンク3行が最も高いです。
2018年の業務改善命令以降、暗号資産業界はもともと匿名性が高いといわれていたことも後押しして、 金融庁によって厳しく顧客保護や AML/CFT に関する指導が入りました。 その後2019年のFATFによるルールの追加でのインパクトもあり、各社で意識の新鮮さがあって、 対応も非常に努力しているという印象があります。
来年・再来年にもまた新たな法改正が行われるのではないかという噂も聞かれるなかで、 私たちが営業している先のコンプライアンスの担当者も、みなかなり努力しているように窺えます。なお、大手の都市銀行と同じレベルくらいではないかと思います。 ただ、現場でAML/CFTに対応するための技術レベルは、まだまだこれから、といったところです。
地方銀行では、AML/CFTの専門知識を持った行員が大手銀行に転職してしまっている現状があります。なのでコンプライアンスの確保は非常にコストなどが費やされるにも関わらず、 地方銀行AML/CFTを詳細に理解している人材は非常に限られている現状です。 また予算の観点でも制約が強く、CDD (顧客の継続モニタリング) などが十分にできていないとも言われています。
追記終了
編集部のコメント
各金融機関や金融サービス事業者では、CDD (Customer Due Diligence) と呼ばれる顧客情報の管理プロセスが非常に重要とされています。そしてCDDはブロックチェーン業界においても非常に重要なものだと考えられます。
Bassetのようなブロックチェーンに特化したセキュリティ企業が監査法人などと連携して、デジタル化されたお金の流れや暗号資産などのリスク管理を徹底して監査を行うことは、永続的な業界の発展にとって極めて重要なことだと考えています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
(images:iStock/Tuadesk・a-image)