アメリカ大手資産運用企業Vanguard(ヴァンガード)が先物為替取引契約のデジタル化に向けブロックチェーン活用へ
アメリカ大手資産運用会社Vanguard(ヴァンガード)がテクノロジープロバイダーであるSymbiont(シンビオント)が開発する分散型台帳システムを活用し、Bank of New York Mellon(バンクオブ・ニューヨークメロン)、State Street(ステート・ストリート)、Franklin Templeton(フランクリン・テンプレトン)と共同で、先物為替取引に関してシュミレーションテストを行ったことを発表。なおそのテスト期間は30日間だったようだ。
現状、先物為替取引市場は取引プロセスのほとんどが手作業で行われている。そのにブロックチェーン技術の利点を活用することで、契約の実行と文書化を単一の変更不可能な記録上で行うことが可能になり、取引をデジタルで保護することが可能になるとのこと。
またネットワーク内の当事者は、資産の担保評価、移動、決済を瞬時に行うことができ、支払い遅延のリスクを軽減し、清算されず証拠金取引の対象となる先物為替取引市場のプロセスを合理化することができるとのこと。
Vanguardの投資運用フィンテック戦略グループのプリンシパル兼責任者であるWarren Pennington(ウォーレン・ペニントン)氏は「2年以上前から、資本市場の変革を支援するためにブロックチェーンのユースケースを開発してきました。現在の環境では重要なビジネスプロセスの合理化、自動化、安全性の確保の必要性が強調されています。取引手続きは手作業への依存度が高く、業務が切り離されている場合、危機や単純な手作業のミスによる混乱に対して市場を脆弱にしてしまいます」とコメントをしている。
Bank of New York MellonのFX担当責任者であるJason Vitale(ジェイソン・ビターレ)氏は「DLT上で初の先物為替取引契約の実施に向けた当社の取り組みは、取引のライフサイクルを近代化し、顧客体験を向上させるための取り組みの中で、当社が検討している数多くのユースケースの一つです。Vanguardとの提携はエンドツーエンドのワークフローをさらに自動化し、先物為替取引市場にとって重要な一歩になると考えています」とコメントしている。
State Streetのグローバル・マーケッツのプロダクト・イノベーションおよびビジネス・ディベロップメントの責任者であるDean Sakati(ディーン・サカティ)氏は「State Streetは購入者への先物為替取引サービスの最大手プロバイダーの一社として、担保付きの先物為替取引契約のサポート・プロセスをデジタル化するためのこの取り組みに対して、VanguardとSymbiontの協力を得られたことを嬉しく思います。当社のデジタル戦略全体は、プロセスの自動化と効率性と成長を促進する最先端のテクノロジーの活用の両方を通じて、お客様の業務上の課題を削減することに重点を置いていますが、今回の試験的な取り組みは、この目標の達成にさらに貢献するものと確信しています」とコメントしている。
Symbiont CEOのMark Smith(マーク・スミス)氏「このプラットフォームは、ブロックチェーン技術によって資本市場のインフラをどのように変革しているのかを示すもう一つの例です。Vanguardは、先物為替市場に必要な変革を加速させるために貢献している先進的な金融サービス機関の一例です。これは単なる技術革新ではなく、この資産クラスに必要とされる効率性と自動化をもたらすためのものです」とコメントをしている。
編集部のコメント
6月12日にVangard(バンガード)は資産担保証券(ABS)の発行を支援するブロックチェーン技術実証の第一フェーズを完了したことを発表しています。こちらもSymbiontとの共同プロジェクトです。
アメリカ大手資産運用企業がブロックチェーンに関して、本腰を入れてプロジェクト運用していこうといているのは世界的にも注目のニュースではないでしょうか。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
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