米商品先物取引委員会の前会長クリストファー・ジャンカルロ氏が「XPRは有価証券ではない」との見解を示す
米商品先物取引委員会(CFTC)前委員長であるChristopher Giancarlo(クリストファー・ジャンカルロ)氏が6月17日に掲載された法律専門誌IFLRのコラムにて、暗号資産XRP(リップル)に有価証券性がないことを主張した(なお米国の規制当局はXRPが有価証券であるかどうかについて、まだ明言していない。さらにCFTC現委員長のHeath Tarbert(ヒース・ターバート)氏も同様にXRPの法的性質は明確でないとしている)。
ジャンカルロ氏はXRPが有価証券とみなされない理由として、ビットコインとイーサリアムの2つの暗号資産が現状では有価証券とみなされていないことと、証券取引委員会(SEC)が適用しているハウィ―テスト(Howey test:該当商品が投資契約として成り立っているかを判断するテスト)の下ではXRPが有価証券の条件を満たさないことなどを挙げている。
XRPが有価証券とみなされるかどうかの最大の判断基準は「XRPの価値とRipple社の業績が連動しているのか」という点だと言われている。もし連動しているならば、購入者はRipple社の利益を目的としてXRPを購入するとみなされ、これはXRPがRipple社の株券(有価証券)と同様の機能を果たすとみなされる事になるだろう。
ジャンカルロ氏はXRPを購入することは、将来のリターンを約束するようなものではないため、Ripple社と購入者を結ぶ投資契約にはならないと述べている。
またハウィーテストで基準となっている「購入者が他人の努力に依存して利益を得られるか」や「販売者がトークンの収益性を強調しているか」などの点について、Ripple社の動向とXRPの価格に相関関係がないことやXRPはあくまで流動性ツールや決済システムとしてプロモーションを行っている点を挙げ、販売者も購入者もXRPを有価証券として認識していないことを主張した。
さらに一般的にネットワークの分散度合いが大きくなるほど暗号資産の証券性は小さくなると考えられているため、XRPが十分に分散しており、たとえRipple社がXRPから撤退したとしてもXRPは機能し続けるという点からもXRPは証券性を持たないと述べた。
結論としてジャンカルロ氏は「現在規定されているハウィ―テストに基づけば、XRPは有価証券として規制されるべきではなく、決済システムに流動性をもたらすユーティリティトークンや交換媒体としてとらえられるべきだ」と主張している。
編集部のコメント
XRPではPow(Proof of Consensus)を採用しており、特定のバリデーター(承認者)だけが合意された取引記録を追加していく仕組みの為、ビットコインやイーサリアムなどのパブリックブロックチェーンとは構造が異なります。そのため「ビットコインやイーサリアムの証券性が認められていないからXRPも同様に証券性がない」と主張することは難しいでしょう。
特にXRPにはRipple社という企業が背後に存在しており、すべての発行済みXRPはいったんRipple社に保有され、Ripple社が定期的にそれを売却することでXRPの市場への供給を行っています。このことを考えるとXRP自体の価値とRipple社との関係性が存在しないことを証明するのはかなり難しいと考えられます。
ちなみにジャンカルロ氏は現在法律事務所Willkie Farr & Gallagherに勤めており、Ripple社は同事務所の顧客の一社です。ですのでその関係性からの今回の主張ではないかという報道もあります。
コメント:小俣淳平(あたらしい経済)
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