米FRB議長が「米ドルが世界の基軸通貨であり続けるために、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を真剣に研究している」と米下院委員会で発言
アメリカ連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が「ドルが世界の基軸通貨であり続けるために、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を真剣に研究している」と6月17日のオンラインで行われたアメリカ下院委員会で発言した。17日のアメリカ下院委員会の議題は「Monetary Policy and the State of the Economy」だった。
アメリカ下院議員のTOM EMMER(トム・エマー)氏は、パウエル議長に対して「コロナウイルスの影響で、各国が対応しているようにデジタル通貨の必要性が示されてくるようになりました。ところで2019年の段階では、FRBはCBDCの開発に取り組んでいませんでしたが、2020年に入ってからFRBは中央銀行デジタル通貨(CBDC)を実質的にどのように認識されていますか?」と質問した。
質問に対してパウエル議長は「現在、世界中のどこの中央銀行も中央銀行デジタル通貨(CBDC)注目していると思います。私たちは、私たちがサービスを提供しているアメリカ国民に対して、中央銀行デジタル通貨の研究・開発のスピードを上げていく義務があります。アメリカはそのような環境に存在しておかなければならないし、一番最初に中央銀行デジタル通貨(CBDC)を理解しておかないといけないと考えているので、努力しています。
現在は主要な中央銀行のグループで中央銀行デジタル通貨に関するテクノロジーの理解を共有するために集まっています。例えばサイバーセキュリティの意味合い、 経済的な意味合い、金融包摂の意味合いなどです。これらが含む問題は非常に複雑であり、私たちはとても真剣に取り組んでいます。
そして中央銀行デジタル通貨(CBDC)を理解して、ドルは既に世界基軸通貨ではないことに気づくのは、FRBの義務だと思います。そして既に技術的な変化に遅れを取ってしまったので、より遅れを取らないようにするのと同時に中央銀行デジタル通貨を導入する前に様々な課題を解決して、答えを出さなければならない」と答えた。
編集部のコメント
アメリカの中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する取り組みは、2019年から2020年にかけて大きく変化したと考えられます。2019年11月19日にFRBのパウエル議長はFRBの書簡に「FRBはデジタルドルがアメリカに利益をもたらすかどうかを検討しているが、積極的に開発しているわけではない。さらに、FRBによるCBDCの発行は、他国の場合とは違い、アメリカにメリットをもたらさない可能性がある」と記載していました。
しかし2020年6月17日の下院委員会で、米ドルはもはや世界基軸通貨ではないと自覚しないといけないとの発言をしていて、他国の通貨の強さを目の当たりにしていることを感じさせられます。
これからアメリカは中央銀行デジタル通貨の研究開発に最大限の力を注いでいくのではないでしょうか。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
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