マウントゴックス元CEOのマルク・カルプレス被告のデータ改ざんの罪が2審も有罪判決
現在民事再生手続き中の暗号資産(仮想通貨)取引所マウントゴックス(Mt.Gox)の元CEOであるマルク・カルプレス被告が、取引システムのデータ改ざんについて第二審でも有罪の判決を受けたことを6月11日日経新聞が報じた。
カルプレス被告は2013年2月~9月にマウントゴックスの取引システムに接続し、被告自身の口座に3350万ドルが入金されたようにデータを改ざんしたとして、私電磁的記録不正作出・同供用罪に問われ、2019年3月に第一審の東京地裁で有罪判決を受けていた。
なお一審で被告側は「口座の残高を増やしたことは会社側の意思に沿っており、不正ではない」などと主張していた。
二審である東京高裁の控訴審判決では懲役2年6月、執行猶予4年とした一審の東京地裁の判決を支持し被告側の控訴を棄却した。
裁判長は判決理由を「マウントゴックス社の意思として示された利用規約に反する行為だった」として、一審同様に罪が成立すると判断し、その上で過去に行った架空のビットコイン作成の隠蔽工作の一環で口座残高の水増しに及んだと指摘したとのこと。
なお顧客から預かった資金を巡る業務上の横領については一審の無罪判決を検察側が控訴を見送り、被告の無罪が確定している。
編集部のコメント
一連の裁判については、2014年2月28日にマウントゴックス社から民事再生法の適用申請と受理が発表されたことから始まりました。
この発表の際に同社が2011年よりハッキング被害を受け資金を流出しており、約75万BTCと自社保有分の約10万BTCとユーザー保有分の約75万BTC、さらに預かり金の約28億円が失われたことも同時に公になったのです。
その後2014年4月にはマウントゴックス社の破産手続きが始まり、それから1年以上が経ち、2015年8月には同社の元CEOマルク・カルプレス氏が逮捕されます。一部預かり金の横領やシステム不正操作の疑いなどの罪が疑われたためです。そして2016年7月に保釈され、2017年7月11日には初公判が開かれました。
2017年7月26日には、マウントゴックス社のシステムにハッキングをした容疑でロシア人男性が逮捕され、2019年3月に預り金の横領については無罪判決となっています。
被告側弁護士は控訴発表の際に「カルプレス被告は利用者のリスクを削減しようと努めていただけ」と述べており、いままでカルプレス被告も一貫して無罪を主張しています。
なお日本では三審制の為、被告が今回の二審での判決を不服として上告することができます。上告が棄却されなければ最高裁判所での裁判を行うことができます。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
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