JPモルガンが「各国の中央銀行デジタル通貨は米ドルの優位性を損なう可能性がある」とレポートで記載

JPモルガンが「各国の中央銀行デジタル通貨は米ドルの優位性を損なう可能性がある」とレポートで記載

JPモルガン(JPMorgan)が世界各国が中央銀行デジタル通貨(CBDC)をローンチした場合、世界でアメリカが最も失うものが大きいとレポートで発表した。

JPMorganのアナリストであるジョシュ・ヤンガー(Josh Younger)氏とマイケル・フェロリ(Michael Feroli)氏は「多くの中央銀行が、特に中国を中心に積極的にCBDCシステムを追求しています。実際に中央銀行デジタル通貨がローンチされて、これらの通貨が牽引力を得られれば、アメリカの地政学的な力を損なう可能性がある」とレポートで論じている。

さらに両者は「ドルが世界の基軸通貨としての地位をすぐに失うことはないと思います。しかし貿易決済やSWIFTなどにおけるドル優位性はより脆弱である」と論じている。さらに「これは主に米ドルの覇権に関係しています。世界の基軸通貨を発行し、商品、サービスの国際貿易のための交換媒体となることは、計り知れないメリットをもたらしている。しかし、これらの利点が失われると、米国は経済制裁の実施やテロ資金の取り締まりに苦労することになる」とも記載している。

編集部のコメント

JPMorganのレポートによると、現在アメリカは中央銀行デジタル通貨を発行する予定はないとのことです。

ただアメリカには、米国商品先物取引委員会(CFTC)の前議長であったクリストファージャンカルロ氏とアクセンチュア(Accenture)の共同プロジェクトであるDigital Dollar Project(デジタル・ドル・プロジェクト)が存在しています。こちらに関してJPMorganのレポートでは「アメリカのささやかな投資」として記載されています。

以上のことからわかるように、アメリカでは現状のドル覇権の世の中を維持するために中央銀行デジタル通貨への取り組みは消極的と捉えていいでしょう。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:Guzaliia-Filimonova,Tuadesk)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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