電子書籍取次のメディアドゥが2020年秋にブロックチェーン導入か

電子書籍取次のメディアドゥが2020年秋にブロックチェーン導入か

電子書籍取次のメディアドゥーホールディングスが今後はブロックチェーンなど新技術への投資を加速させていく狙いであることが日経産業新聞の報道によって明らかになった。

報道によると新型コロナウイルスの影響を受けて、電子書籍の売り上げが伸びたとのこと。4月に発表した2020年2月期の連結決算では、売上高が前年同期比30%増の658億円と伸長し、特に電子書籍流通事業は前年同期比28%増の645億円と好調とのことだ。

好調な収益状況を背景に、同社はブロックチェーンなどの新技術採用に取り組んでいるとのこと。2019年、2020年で累計3億円投資していて、今秋には電子書籍の流通基盤にブロックチェーン技術を導入する予定とのことだ。今秋採用するブロックチェーンプラットフォームはAmazon Managed Blockchainの予定で、名称は「MediaDo Blockchain Platform」。同プラットフォームの処理可能取引数は、1秒あたり5555tps、1時間2,000万であるとメディアドゥが明らかにしている。そして同プラットフォームは、1日4.8億とRippleの1日1.3億、Hyperledger Fabric2.3億と比べて処理性能が高い。

ブロックチェーンを活用の目的としては、電子書籍の取引履歴が記録を行い、電子書籍の中古販売や出版社と作家に著作権料を還元していくこととのこと。

編集部のコメント

メディアドゥHDは出版社の電子書籍を電子書店などに流通させる電子書籍の取次を手掛けていて、出版社約2100社、電子書店約150店の取引基盤を持ち、流通総額は950億円で国内流通総額の34%を占めているとのことです。

出版科学研究所によると、2019年の電子出版市場は前年比24%増の3072億円とのことです。 そしてこれまでのメディアドゥのブロックチェーンに関する取り組みとして主要コンソーシアムブロックチェーンの一つであるHyperledger Fabricを研究しPoCは完成していると、同社の2019年7月19日のブログに記載されています。さらにメディアドゥの「エンジニア100名体制を擁し、大規模トラフィックを支える電子書籍流通基盤から、ブロックチェーン等の先端技術を活用したシステム開発を全て自社で実現」すると2020年2月期通期決算資料に記載されています。さらにメディアドゥのブロックチェーンを用いて実現したい世界は、これまでのコンテンツ販売、サブスクリプションモデルに加えて、音楽、本、映像のアセットモデルとのこと。そのアセットモデルとは具体的にどのようなものなのか非常に気になるところです。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:antoniokhr,liuzishan)

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。 これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。