Libraが中央銀行デジタル通貨との統合を視野に4つのアップデートを発表
Libraが中央銀行デジタル通貨との統合を視野に4つのアップデートを発表した。
4つのアップデートの内容は「1. Libraは複数国の通貨を担保するバスケット型の通貨と1国の通貨を担保するシングル型の通貨の2種類になるということ 2. 現状の堅牢な規制システムに準拠した形で、Libraの決済システムの安全性を向上させたこと 3. 世界の主要な経済的特性を維持することを考慮した上で、現段階でのブロックチェーンのパーミッションレスシステムへの移行を見送ること 4. 今後もLibraの設計にはさらなる規制の強化を必要とすること」である。
注目すべきは今回のアップデートにより、Libraにシングル型の通貨の発行が加わる点。ホワイトペーパーによるとシングル型の通貨は、米ドルのステーブルコインであればLibraUSDまたは≋USD、ユーロであればLibraEURまたは≋EUR、ポンドであればLibraGBPまたは≋GBP、シンガポールドルであれば、LibraSGDまたは≋SGDと表記されるようになるとのこと。
シングル型を発行した狙いは、各国内の幅広いユースケースをサポートするためのネットワークを構築しシームレスで明確な金融システムの統合性を提供することと、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)が利用可能になった時に、容易にシステム統合を行うためとのこと。
さらにホワイトペーパーによると中央銀行がCBDCを開発する際には、CBDCをLibraネットワークに直接統合することで、Libraネットワークが準備金を管理する必要がなくなり信用リスクや保管リスクが軽減されることを期待しているとのこと。
そしてLibraはLibraの決済システムがCBDCの公共領域のイノベーションをサポートするためにアップグレーダブルな設計原則をとっているとのこと。
つまりCBDCが発行段階に移行するにつれて、Libraの役割が大きくなることを期待しているとのことだ。
編集部のコメント
Libraのウォレットを開発しているCalibra社 CEOのDavid Marcus氏のツイートによると、Libra Associationへの資金提供も順調とのことです。世界中のステークホルダーの協力を得ながら、Libra Associationは運営を緻密に実行しています。
LibraはFacebookが運用する通貨と言われることが多いですが、実際のところFacebookがLibra Associationへ提供している資金は累計資金の10%未満とのことです。
今回の4つのアップデートにより、兼ねてから各国が懸念していた通貨発行権を略奪するという課題は薄まったと、あたらしい経済編集部は考えます。
そしてLibraは世界中の国が金融取引をより安くシームレスに行うための決済手段としての色が強まったように思えます。
なぜならLibraはCBDC発行を見据えた上で、シングル型の通貨も発行する形へ移行したからです。ただ将来的には世界通貨「Libra」へのLibra Associationの野望も垣間見ることもできると、あたらしい経済は感じています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
イメージ:Guzaliia-Filimonova