サークル、企業向けの「USDC」統合・自動化SDK「USDCKit」公開

CircleがUSDC統合を容易にするSDK公開

米Circle Internet Financial(サークル)が、同社発行の米ドルステーブルコイン「USDC」の統合および自動化を、企業が容易に行えるようにするソフトウェア開発キット(SDK)「USDCKit(USDCキット)」の提供を開始したと3月27日に発表した。

「USDCキット」は、サークルのウォレットサービス「Circle Wallets(サークルウォレット)」に対応しているとのこと。これまで企業が「USDC」を活用した決済インフラを導入するには、カスタム開発や資金管理の自動化、複雑なコンプライアンス対応など多くの負担があったが、「USDCキット」はこれらの障壁を解消するという。

「USDCキット」は主に、ウォレット作成、ガス効率に優れたスイープ、大量支払い、決済ロジックといった機能を備えている。これらの機能を自動化することで、「USDC」を用いた資金管理や決済処理における運用負荷を軽減し、数百万件規模のトランザクションを効率的に処理するとのこと。なおスイープとは、複数のウォレットに分散した資金を1つに集約する処理のことを指す。

また「USDCキット」には、リアルタイムの取引審査やトラベルルールへの対応など、グローバルな規制基準への準拠を可能にする「Compliance Engine(コンプライアンスエンジン)」も組み込まれているとのこと。これにより、企業レベルのコンプライアンス管理を実現できるとしている。

さらに同開発キットには、Arbitrum(アービトラム)、Avalanche(アバランチ)、Ethereum(イーサリアム)、Solana(ソラナ)、Unichain(ユニチェーン)などの複数のブロックチェーン間で「USDC」の転送を可能にする「クロスチェーン転送プロトコル(Cross-Chain Transfer Protocol:CCTP)」機能も搭載されている。

サークルは「USDCキット」の提供により、まずは決済事業者(PSP)や国際送金プラットフォームの支援に注力するとしている。

現在「USDCキット」は、初期機能を備えた早期アクセス版として提供されており、今後スワップ機能やオンランプ・オフランプの統合などの機能追加が予定されているとのことだ。

ちなみに前述した「CCTP」は、「USDC」を転送元のチェーンで消滅(バーン)させ、転送先のチェーンで発行(ミント)する「バーンアンドミント(Burn and mint)」を採用することで、より安全に他のブロックチェーンに「USDC」を移動できる機能である。

転送元でトークンをバーンすることで転送先のトークンがネイティブとなり、トークンの総発行枚数が増加する問題を軽減している。

なおサークルは今年3月11日に、「USDC」クロスチェーン転送時間を短縮する「CCTP」のアップデート版「CCTP V2」をリリースしている。「CCTP V2」では、イーサリアムとレイヤー2間の「USDC」転送時間を数分から数秒にまで短縮するとのことだ。

参考:サークル
画像:PIXTA

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一本寿和

「あたらしい経済」編集部 記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。 「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。