TISが女子プロ卓球チームのデジタル社債を発行
TISインテックグループのTISと京都卓球クラブが、私募によるデジタル社債「カグヤスマイルトークン」の発行を3月18日に発表した。
今回の私募債発行による調達資金は、京都卓球クラブの卓球スクール事業の強化に活用されるとのこと。京都卓球クラブでは、Tリーグ女子プロ卓球チーム「京都カグヤライズ」を運営しており、同チームの安定した経営を目指す一環として、2025年度に卓球スクール事業の強化を計画しているとのことだ。
発表によると同デジタル社債はTISによるセキュリティトークンの発行・管理業務を包括的に支援するプラットフォーム「STLINK」を利用する。なお「STLINK」を活用したデジタル社債の発行は本件が初であり、またTリーグにおけるセキュリティトークンを活用した私募債発行による資金調達は国内初とのことだ。
なお「あたらしい経済」編集部はTISに対し、「STLINK」で採用しているブロックチェーンについて問い合わせをしている。TISより返答があり次第、この記事に追記させていただく予定だ。
※2025.3.18 16:23追記 TISによると「STLINK」に採用されているブロックチェーンは、レイヤー1ブロックチェーン「アバランチ(Avalanche)」とのことだ。
プロ卓球チームがデジタル社債で資金調達する背景
スポーツチームにおける資金調達の手法としては、スポンサー契約や寄付、チケット収入や物販が一般的だ。しかし従前の方法では収入が不安定で長期的な計画が立てにくく、将来に向けた戦略的な資金投下が行いづらいという課題があるという。
そこで京都卓球クラブは、前述した卓球スクール事業の強化を計画。クラブの理念や発展、同事業に対して共感する支援者の応援投資を喚起するチャレンジとして、STO(セキュリティトークン・オファリング)を活用した資金調達の実施を決定したとのこと。
「カグヤスマイルトークン」発行による支援者の応募投資により、選手兼スクールコーチによる指導の拡大や、スクール枠の増設などプログラムの強化を図り、持続的なスポーツチーム経営の実現だけでなく、卓球を通じた地域のスポーツ文化の発展と次世代の育成に貢献するとのことだ。
なおSTOとは、発行会社が従来の株式や社債等に代わり、ブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行するトークンに株式や社債等を表示するセキュリティトークン(ST)で資金を調達するスキームだ。
TISによるSTOの取り組み
TISは今年1月、クエストリーと共にデジタル証券(セキュリティトークン)を活用したアニメ映画製作の資金調達に向け、業務提携した。
この提携により、クエストリーの主力事業であるアニメ・コンテンツ制作の資金調達を実施するため、セキュリティトークンを活用したファンドを立ち上げるという。
両社は、これまで十分に制作現場まで資金が回りきらなかった国内アニメ制作を含むコンテンツ産業に対し、投資家が直接資金を投じられる新たな資金調達方法としてSTOの導入を進めることで、課題解決を行うとのことだった。
なおアニメ映画製作を用途として、セキュリティトークンを活用した私募ファンドによる資金調達が実現すれば、本件が国内初の事例になるとのこと。セキュリティトークン発行は年度内を計画しているとのこと。
また本件においてもTISの「STLINK」が利用予定である。
参考:TIS
画像:PIXTA