ブラジルのデータ保護機関が「ワールド(WLD)」調査、データ保護法違反の疑いで

ブラジルのデータ保護機関がTFHを調査

「ワールド(World):旧ワールドコイン」を手掛ける関連開発会社ツールズ・フォー・ヒューマニティ(Tools For Humanity:TFH)が、生体認証デバイス「オーブ(Orb)」を使用したデータ収集について、ブラジルのデータ保護機関(ANPD)より調査を受けている。ANPDが1月22日発表した。

TFHは、「オーブ」を通じて発行される個人識別システム「ワールドID(World ID)」の開発を進めるため、虹彩や顔などの生体認証データを収集している。ANPDはこれがデータ保護法(LGPD)に違反していないかを確認するため、昨年11月11日から調査を開始していたとのこと。

またANPDはTFHに対して、データ処理の背景と目的、処理の法的根拠、データ処理の透明性、データ主体の権利行使といった状況などの説明を求めているという。

さらにTFHは、データ処理記録やデータ保護影響評価(DPIA)の提出もANPDから要求されているが、同社は必要な文書を既に提出しており、現在は同機関がそれらを精査している段階とのこと。

ANPDは発表の中で、特に生体認証データは1度漏洩すると変更や削除が困難である特性を持つため、徹底的な保護が必要であることを強調している。

ちなみにTFHは昨年8月に、「オーブ」デバイスによる虹彩スキャンの行為が、個人情報保護規制に違反しているという疑いで、コロンビアの産業商業監督庁(Superintendencia de Industria y Comercio:SIC)から告発されていた。

ワールドIDとは

「ワールドID」は、持ち主が本物の人間であることを証明し、オンラインのAIチャットボットとの違いを区別するための「デジタルパスポート」である。「ワールドID」を取得するには、取得希望者が「ワールド」の「オーブ」を使用して対面で虹彩スキャンを行う。「オーブ」はボウリングボールとほぼ同じサイズの銀色の球体だ。

「オーブ」の虹彩スキャンで、希望者が実際の人間であることが確認されると、「ワールドID」が生成される。そして特定の国で登録したユーザーには、特典として「WLD」と呼ばれるトークンが提供される。

参考:ANPD
画像:iStock/Abscent84・rarrarorro

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一本寿和

「あたらしい経済」編集部 記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。 「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

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