NOT A HOTEL、借入で105億円の資金調達、累計調達額は約223億円に

NOT A HOTELが借入で105億円調達

NOT A HOTEL(ノットアホテル)社が、複数の金融機関から借入を実施し、デットファイナンスによる総額105億円の資金調達を実施したことを11月2日発表した。

この調達は、「NOT A HOTEL」各拠点の開発を更に加速すると共に、グローバル展開、新規事業開発などへの投資を加速させていくため行われたとのことだ。

なお同社は今回の調達により、累計調達額が総額約223億円になったとのこと。なおそのうちエクイティ(株式)は105億円、デット(借入)は118億円とのことだ。

調達を行った金融機関(借入先)については、それぞれ金額の内訳と共に公表がされている。三井住友銀行からは30億円、みずほ銀行から11億円、三井住友信託銀行から10億円、群馬銀行からは5億円が調達されている。また26億円を借り入れた千葉銀行と23億円を借り入れた広島銀行についてはシンジケートローンとなっている。

シンジケートローンには、商工組合中央金庫、中国銀行、しまなみ信用金庫、武蔵野銀行、第四北越銀行が参加している。

なおシンジケートローンとは、顧客のニーズにあわせ、複数の金融機関が協調融資団(シンジケート団)を組成し、同一の約定条件に基づき貸出する大型ローンのことだ。

「NOT A HOTEL」とは、購入した部屋を住宅や別荘として利用するだけでなく、旅行や出張で家を空ける際にはホテルとして運用できる不動産を販売するサービスだ。

またNOT A HOTEL社は、毎年1日単位で利用できる宿泊権とイベント参加などの特典を合わせた「メンバーシップNFT」を2022年夏に販売。初回販売では3億円相当の「メンバーシップNFT」が完売し、SNS上で話題となっていた。

そんなNOT A HOTEL社は今年、自社施設や開発用の土地を保有・運用するプロジェクト「NOT A HOTEL DAO」開始にあたり、完全子会社「NOT A HOTEL DAO株式会社」を設立。現在同子会社は同プロジェクトにて活用する、暗号資産(仮想通貨)「NOT A HOTEL COIN:ノットアホテルコイン(NAC:ナック)」を国内暗号資産(仮想通貨)取引所GMOコインにて購入申込を受け付けている。

「NOT A HOTEL DAO(プロジェクト)」について

ホワイトペーパーによると「NOT A HOTEL DAO(プロジェクト)」では、「NOT A HOTEL」の利用権の保有をより身近に、より多くの人に提供することを目指している。

「NOT A HOTEL」を利用する仕組みとして、NOT A HOTEL DAO社が発行した「NAC」をユーザーが取引所を通じてを購入し、NOT A HOTEL DAO社はユーザーより集めた資金で「NOT A HOTEL」の所有権を取得する予定となっている。そしてユーザーは、自身が保有する「NAC」をNOT A HOTEL DAO社へレンディングまたは消費することで、同社が所有する「NOT A HOTEL」を1泊から利用が可能となる。

「NAC」のその他のユーティリティとして「NOT A HOTEL」の利用権だけでなく、同施設利用時の食事やアクティビティへの支払や、NOT A HOTEL DAO社が保有した車やヘリなどの利用への対応も目指しているとのこと。

なお「NAC」は、購入以外の方法でも、土地提供や建築プランの作成等の対価として受取が可能とのこと。建築した「NOT A HOTEL」の周辺地域住民への還元などの形で「NOT A HOTEL DAO(プロジェクト)」への参加・還元される仕組みを構築するとのことだ。

「NAC」は無限発行型のトークンとのこと。新規発行は、過去のIEOで調達した資金が現物資産に置き換わる見通しができたタイミングで再度IEOを実施する予定だという。新規発行が行われるとトークンの総供給量が増加し、一時的にトークン価値が希薄化する可能性があるが、これによりプロジェクト拡大と長期的なトークン価値向上が見込めると説明されている。

また「NAC」の価値の維持・向上のために、同トークンには「BuyBack&Burn」の仕組みが設けられている。

BuyBuck(買戻し)では、NOT A HOTEL DAO社がホテル運営などから得た収益にて、市場から「NAC」を買い戻す。これにより市場に出回る「NAC」の量を減少させるとのこと。

またBurn(焼却)では、上記にて買い戻した「NAC」の一部または全部を焼却することで総供給量を減少させるという。焼却された「NAC」は永久に使えなくなるため、市場に出回るトークン数が減少するとのことだ。

なお「NAC」はガバナンストークンではなく、NOT A HOTEL DAO社運営に直接的な関与を提供するものではないとのこと。また「NAC」の取引価格は、不動産の価値と直接的に連動するものではないという。そして「NAC」は有価証券やセキュリティトークンには該当せず、投資や収益を保証するものではなく、金融商品としての性質を持たないとのことだ。

ちなみにNOT A HOTEL DAO社の収益構造は、「NOT A HOTEL」のオペレーション会社への貸出・売却・開発・販売、そしてトークンホルダーからレンディングで預かった「NAC」の市場売買による運用益とのことだ。

画像:iStocks/BadBrother

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。