ナンバーナインがTARTと共同でブロックチェーン技術を活用し漫画のデジタル所有権に関する実証実験開始
株式会社ナンバーナインが、株式会社TARTと共同でブロックチェーン技術を用いた漫画・画像のデジタル所有権を扱う実証実験を開始したことを3月2日プレスリリースにて発表。
同実証実験には、TARTが開発運営をしているイーサリアム基盤の漫画家応援プラットフォーム「CANDL」を利用して行われる。
「CANDL」を通してマンガファンは、ブロックチェーン技術によって担保されたイラストのデジタル所有権を購入することができ、同時に漫画オーナーとなることができる。また漫画オーナーには漫画の収益の一部が還元される。
同実証実験では、「CANDL」にナンバーナインが漫画『クロザクロ デジタル新装版』を提供し、「CANDL」正式リリース第一弾キャンペーンとして『クロザクロ デジタル新装版』の漫画オーナーを募集する。
同キャンペーンでは、ゴールドオーナー(3口60,000円)シルバーオーナー(10口20,000円)ブロンズオーナー(20口6,000円)の3つのプランがあり、それぞれ、(1)描き下ろし限定デジタルイラストのダウンロード、(2)イラストのデジタル所有権(3)同漫画電子書籍の売上の一部を還元(4)CANDLサイト上に漫画オーナーとして名前表示 の特典が得られる。また商品はEthereumブロックチェーン上のトークン(ERC721)の形で発行され、指定のウォレットに配布されるとのことだ。
販売期間は3月2日~3月31日となっており、購入にはイーサリアムのウォレットが必要となる。
売上の還元については、Amazonで販売されている作品が対象で、還元の支払いは仮想通貨ETHにて支払いされる。売上還元期間は4月1日~9月30日で、還元サイクルは5月末日~10月末日までの毎月末の計6回となるとのこと。
またTARTの代表である髙瀬俊明氏は、あたらしい経済の取材に対し「私たちはこのCANDLというサービスを通じて、クリエイターの方々に資金を獲得する選択肢を提供し、ファンの方々にはより支援しやすいインセンティブを提供したいと考えております。まだ実証実験の段階ではありますが、ブロックチェーンを活用した新たな可能性に挑戦しておりますので、ぜひ応援お願いいたします。」とコメントをしてくれた。
編集部のコメント
TARTの代表である髙瀬俊明氏によると、今回イラストの所有権として配布されるERC721トークンは、イラストの所有権であると同時に漫画オーナーである証明書になるということで、イラストダウンロードができ、売上の還元も受けられるというものです。またこの所有権兼証明書は、ERC721対応のNFTマーケットプレイスで売買も可能になるということです。
同氏によると「今回は実証実験的な側面が強いために期間を限定した取り組みとなっており、売上の還元期間が短いのもそのためです。将来的にはこれを永続化する(あるいは長期化する)ことを視野に入れての取り組みになります」とのことでした。
ナンバーナインとTARTは、ブロックチェーン技術を活用し、マンガの売上をファンに還元する仕組みの実証実験開始を2019年11月に発表していました。両社は、マンガ家とファンの関係を再定義し新たなファンエコノミーの構築を目指していくと発表していました。CANDLのHPには『マンガの権利を買ってマンガを育てられる。マンガ家とファンが「マンガの権利」を通じて、共に戦う仲間と出会えるサービス』と記載されています。両社が目指す価値のイメージは、株主や馬主のようにマンガを扱うことができるというようなイメージを思ってもらえるとわかりやすいと思います。
また同じような、マンガやアニメにブロックチェーンを活用した事例は、Aniqueのサービスがあります。Aniqueはブロックチェーン技術を活用し、日本の優れたアニメやマンガ、ゲームのアートワークのデジタル所有権を販売し、世界にひとつだけのコレクションとして保有・売買することを可能にするサービスです。
第1弾では昨年5月にアニメ『進撃の巨人』公認の同作品アートワークが出品され、第2弾プロジェクトには、アニメ『serial experiments lain』(シリアルエクスペリメンツレイン)公認のアートワークが出品され、その後続々とプロジェクトが発表されています。
なお「CANDL」は、J-LODコンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金に採択されています。
コメント:大津賀 新也(あたらしい経済)
(images:antoniokhr)