【取材】イーサリアムネームサービス(ENS)、L2ソリューション「Namechain」発表

ENSがL2ソリューションNamechain発表

ENSラボ(ENS Labs)が、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2(L2)ソリューション「ネームチェーン(Namechain)」を発表した。この発表は、タイのバンコクで11月11日に開催されたイベント「frENSday」にて行われた。

ENSラボ(ENS Labs)は、イーサリアム基盤のアドレスネーミングサービス「イーサリアムネームサービス(ENS:Ethereum Name Service)」の開発元。今年6月に「ENS」のコア機能をL2へ移行する計画「ENSv2」を発表していた。

今回発表された「ネームチェーン」は、この「ENSv2」構想の一環として設計された。ただし「ENSv2」では、「ENS」プロトコルのコアな機能をL2ネットワークへ移行するだけではなく、「ENS」のアーキテクチャを根本から再構築すると伝えられていた。

なお「ネームチェーン」のローンチは2025年末に予定しているという。また同チェーンはゼロ知識証明(zkp)の活用のEVM(イーサリアムバーチャルマシン)を搭載したL2チェーンとなることが明かされている。

「ネームチェーン」は、ENSの利用にかかるガス(手数料)コストの削減やパフォーマンス向上、マルチチェーン相互運用性の強化が期待されるという。

具体的には、ドメイン「.eth」の登録や更新を「ネームチェーン」に移行することで、従来よりも低コストかつ効率的に運用できるとのこと。

さらに「ネームチェーン」は、イーサリアム上で開発を行う開発者にとって親しみやすい開発環境の提供を目指すとのことだ。

「あたらしい経済」編集部は「frENSday」イベント会場にて、ENSのコア開発者を務める井上真氏に取材した。

–「ネームチェーン」はzkEVM搭載のL2ということですが、「ポリゴンCDK(Polygon Chain Development Kit)」など開発キットを使用した構築になるのでしょうか?

スタックは検討中ですが、最終調整です。決まれば早めに発表したいと思っています。発表は年内になるのでは。

–ローンチに1年かかる理由はなんでしょうか?

そのまま今ある「ENS」を移植するわけではなく、新しいコントラクトを構築します。アーキテクチャも変えてきている。単にL2に移すだけではないため、今回の時間を想定しています。

ENSとは

「ENS」は、複雑な文字列から構成される暗号資産のウォレットアドレスを認識しやすい「任意の文字列」と紐付けられるイーサリアムブロックチェーン基盤のアドレスネーミングサービスだ。インターネットにおけるDNS(Domain Name System)のようなサービスとなる。

「ENS」を利用して取得したアドレス用の文字列は一般にENSと呼ばれており、「.eth」などの拡張子が付属する。なおENSはNFTとしても発行される。

ENSのユーザーはDeFiやweb3ゲームでユーザーネームのように取得した文字列を使用でき、ENSに対応したウォレットでは送金時に送金先のアドレスの代わりにアドレスに紐づいた文字列を利用することもできる。

画像:iStock/Dmytro-Rohovyi

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この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部 記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。 「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

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