BTCが8万9000ドル突破
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)が89,000ドルを突破し、過去最高値を更新した。米大統領選でのドナルド・トランプ(Donald Trump)氏勝利に加え、議会選で暗号資産推進派候補の多くが当選したことを受け、規制緩和に期待が高まっている。
ビットコインは日本時間12日朝、一時89,000ドルを突破。記事執筆時点(12日10:00)でも8,9000ドルを維持している状況だ。この価格は、1月に付けた今年の安値38,505ドルから2倍以上に上昇している。
なおビットコインに次ぐ時価総額第2位の暗号資産イーサリアム(ETH)も3カ月余りぶりの高値となる3,350.70ドルを付け、直近は3,379.12ドル。またドージコインは3年ぶりの高値となった(BTC・ETHともにtradingview Coinbaseチャート参照)。
さらに米国株式市場の暗号資産関連銘柄も急騰。コインベース・グローバルは22%、ライオット・プラットフォームズは19%、マイクロストラテジーが約24%、それぞれ上昇した。
ブラックロックが運用するビットコイン現物の上場投資信託(ETF)「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust:IBIT)」は13%高となった。
シティ・インデックスのシニア市場アナリスト、マット・シンプソン氏は「ビットコインのトランプ・パンプは健在だ。共和党が下院も制して(上下両院で多数派を占める)レッドウエーブ(赤い波)が実現する勢いとなる中、デジタル通貨の規制緩和に期待が高まっている」と指摘。同時に「トランプ氏は(不法移民の)強制送還、恩赦、バイデン政権の政策全般の解体に関心を向けているとみられ、(市場の)やみくもな楽観主義のように見える」とも述べた。
トランプ氏は選挙戦で米国を「地球上の暗号資産の首都」にすると表明。暗号資産の規制強化を進めるゲイリー・ゲンスラー証券取引委員会(SEC)委員長を解任する意向を示している。
暗号資産業界は選挙戦で暗号資産推進派を支援するため、1億1,900万ドル以上を投入。オハイオ州では業界最大の敵の1人とされていたブラウン上院銀行委員長が落選し、ミシガン、ウェストバージニア、インディアナ、アラバマ、ノースカロライナ各州では民主・共和の暗号資産推進派候補が当選した。
トランプ氏は9月、新たな暗号資産ビジネス「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」の立ち上げを発表。詳細は不明だが、投資家はトランプ氏個人が暗号資産に関心を寄せていることは支援材料だと指摘している。
トランプ氏を支持する実業家のイーロン・マスク氏も暗号資産を支持。トランプ氏の息子エリック・トランプ氏は来月アブダビで開催されるビットコイン会議で基調講演を行う予定。
ドイツ銀行の調査アナリスト、マリオン・ラボーレ氏はトランプ次期政権により暗号資産を巡る「規制上の透明性向上の加速、機関投資家の参加拡大、市場インフラの改善、主流に向けた普及につながる可能性がある」と予想。「トランプ氏の実利的なアプローチは最近の規制上の制約から明確な脱却を意味する」とした。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
ビットコイン最高値、8万7000ドル突破 トランプ氏に規制緩和期待
参考:トレーディングビューBTC・トレーディングビューETH
画像:Reuters