イーサリアム研究者ら、EigenLayerのアドバイザー辞任。中立性の懸念を理由に

イーサリアムの研究者がアイゲンレイヤーのアドバイザーを辞任

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)の研究者でありながら、リステーキングプロトコルであるアイゲンレイヤー(EigenLayer)のアイゲン財団(Eigen Foundation)のアドバイザーとなったことで物議を醸していた、ジャスティン・ドレイク(Justin Drake)氏とダンクラッド・ファイスト(Dankrad Feist)氏が、アイゲンレイヤーの顧問を辞任したことをそれぞれのXアカウントにて11月3日に発表した。

ドレイク氏は投稿にて「9月に、私はアイゲン財団の顧問職を辞任しました。私が引き起こした騒動について、イーサリアムコミュニティとアイゲン財団の同僚に謝罪したいと思います。振り返ってみると、それは私にとって悪い決断でした」とし、「今後、私はアドバイザー、エンジェル投資、安全保障協議会のすべてを拒否します。この個人的な方針は、最近のアイゲン財団全体の利益相反方針をはるかに超えるものですが、それは私に求められたからではなく、中立性へのコミットメントを示したいからです」と述べている。

またファイスト氏は「私はアイゲンレイヤーのアドバイザー職を辞任することにしました。この役職は誠意を持って交渉され、アイゲンレイヤーがイーサリアムとうまく連携できるようにすることを目的にしたものだと私は信じていますが、この関係に対する認識は異なっており、多くの人にとってこれが生み出す利益相反はイーサリアム研究者としての私の役割と両立しにくいものであることを理解しています」と投稿にて述べている。

また同氏は今後イーサリアムに注力し、ダンクシャーディング(Danksharding)やその他の重要なプロジェクトのより効果的な実装を進めるとのこと。

ドレイク氏とファイスト氏は今年5月、アイゲン財団のアドバイザーになり、その見返りとして数百万ドルの価値のあるEIGENトークンインセンティブを受け取ったことをそれぞれのXにて報告した。このXのポストへのリプライには、アイゲンレイヤーから金銭を得ることで、リステーキングのリスクに関する分析や、イーサリアムのコアプロトコルに関する作業に影響が出るのではないかといった懸念の声も数多く上がっていた。

またイーサリアム財団のエグゼクティブ・ディレクターである宮口あや氏は「イーサリアム財団の信頼できる中立性は、私たちがエコシステムにおいて役割を果たすために不可欠だ。私たちは潜在的な利益相反についての現在の話題を認識しており、コミュニティの懸念を共有する」とXにて報告していた。

「アイゲンレイヤー」は、リキッドステーキングサービスによって得られるトークン「LST(Liquid Staking Token)」をステーキングすることが可能なプロトコル。さらにバリデーターは、イーサリアムのビーコンチェーン上でステーキングしたETHを「アイゲンレイヤー」上でリステーキングできる。なおリステーキングとは、既にステーキングされたトークンを再度ステーキングし、担保として利用する技術。「アイゲンレイヤー」は、このリステーキングを通じてトークンのセキュリティ機能を引き出し、分散型ネットワーク全体の安全性を向上させる為のプロトコルだ。

画像:iStock/ismagilov

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。