BIS、中国主導の「中銀デジタル通貨」プロジェクトから離脱

BISが中国主導の「中銀デジタル通貨」プロジェクトから離脱

国際決済銀行(BIS)が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の国境を越えた決済基盤「プロジェクト・エムブリッジ(Project mBridge)」から撤退すると10月31日発表した。国境を越えた送金に対する地政学的な監視が強まっている中で、中国も加わっている「プロジェクト・エムブリッジ」がどのように発展できるのかという疑問を投げかけた形だ。

「プロジェクト・エムブリッジ」は中国、香港、タイ、アラブ首長国連邦(UAE)の各中銀が組んで2021年に開始し、サウジアラビア中銀も今年6月に加わった。他に多くのオブザーバー参加メンバーも抱えている。

BISのアグスティン・カルステンス(Agustin Carstens)総裁はマドリードでのスペイン銀行大手サンタンデールの会議で、撤退理由について「失敗したからでも、政治的配慮のためでもなく、私たちが4年間関わってパートナーたちが自分たちで運営できる水準に達したためだ」と説明。併せて「エムブリッジは運用を開始するには未熟だと言わざるを得ない。実現には何年も、何年もかかる」と言及した。

「プロジェクト・エムブリッジ」が新興国グループ「BRICS」の基盤として使われ、ウクライナへの侵攻後に国際的な制裁を受けているロシアが制裁逃れに利用する可能性があるのではないかとの質問に対しては否定した。BISはいかなる制裁対象国とも業務をしておらず、今後もそうあり続けるとして「私たちは制裁を順守する必要があり、われわれがどのような成果物を作ろうとも制裁に違反する導線になってはならない」と強調した。

このプロジェクトを監督する国際的な中央銀行の連合体であるBISは6月、「プロジェクト・エムブリッジ」が「実用最小限の製品(MVP)」の段階に到達したと公表していた。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
BIS、中銀デジタル通貨の国境を越えた決済基盤プロジェクトから撤退
画像:Reuters

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。 これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

広告

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している