イーサリアムのアップグレード「ザ・パージ」、ヴィタリックが解説

ヴィタリックが「The Purge」を解説

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、イーサリアムの未来のアップグレードである「ザ・パージ(The Purge)」の計画について、自身のブログで解説した。この解説は10月26日に投稿された「Possible futures of the Ethereum protocol, part 5: The Purge」にてされている。

同記事によると「ザ・パージ」は、アップグレードごとに複雑になるイーサリアムのプロトコルを整理し、ノードが保存する必要性のあるデータを削減することでノードの運用コストを低減させバリデーターとしての参入を容易にすることが目指されている。

現在イーサリアムのノードを運用するためには、実行用のクライアントや履歴、ネットワークの状態に関するデータの保存に大きなストレージが要求される。具体的には実行用のクライアントだけで約1.1TBが必要なことに加えて、毎年100GB以上容量が増加しているという。

「ザ・パージ」が完了すると、一定期間より前のデータやアクセスが長い間行われていないデータの保存が不必要になり、圧縮や分散されてネットワークに保持されるようになるとのこと。また使用頻度の低い非推奨の機能やデータ形式の統一を行うことで、実行クライアントの保守性を高めセキュリティが向上することも期待されている。

ただしこれら実装には、後方互換性の維持やデータの永続性確保、セキュリティリスクの管理などの課題があり、慎重に進めていく必要がある。

イーサリアムは、今後行う大きなアップグレードおよび目標をいくつかの項目に分けている。具体的には、マージ(Merge)、サージ(Surge)、スカージ(Scourge)、ヴァージ(Verge)、パージ(Purge)、スプラージ(Splurge)の計6つであり、それぞれがイーサリアムを完璧な状態にするためのテーマを持っている。

ヴィタリックは、これらのアップグレードについての解説を行う記事を自身のブログに投稿することを続けている。分散化されたコミュニティで開発が進められているものの、現在でも同氏の意見に大きな影響を受ける状況は続いているため、ブログの内容には大きな注目が集まっている。

参考:ヴィタリックブログ
写真:大津賀新也(あたらしい経済)

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

広告

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している