JCBと富士通ら、「中銀デジタル通貨」活用の異なるキャッシュレスサービス間での取引実現に向けWP公開

JCBと富士通らがCBDCに関するWP発行

ジェーシービー(JCB)と富士通により共同作成されたホワイトペーパー「CBDCを活用したブリッジ(中継サービス)によるインターオペラビリティの実現」が公開された。両社が10月21日発表した。

このWPは、明治大学政治経済学部の教授である小早川周司氏による監修のもと、富士通グループ会社のコンサルティングファームRidgelinez(リッジラインズ)と共に作成されたとのこと。JCBと富士通は、CBDC(中央銀行デジタル通貨)がキャッシュレスサービスの相互運用性の実現といった業界横断的な課題に対する有効な受け皿の一つとなる可能性があると考え、同WPを共同作成したという。

このWPでは、キャッシュレスサービスの相互運用性の実現を目的としてCBDCを活用し、多様なキャッシュレスサービス間でオンライン、オフライン取引を実行できる仕組みについて、論考を深めているとのこと。日本のキャッシュレスサービスが抱える課題としては、異なるキャッシュレスサービス間でも送金・支払いができる相互運用性の実現があるとし、この課題解決の方向性を次の2点を念頭に検討したという。

1点目は「 既存のキャッシュレスサービスやインフラを前提とし、また、多くのサービスと接続可能な、安価に価値交換を実現する仕組みの必要性」、2点目は「現在普及しているキャッシュレスサービスの2つのモデル、サーバー上でバリューを管理するサーバー管理型と、カードやスマートフォンのICチップ上でバリューを管理するチップ管理型の併存を前提に、サーバー管理型とチップ管理型のサービス間での送金・支払いを可能とする仕組み」であるとのことだ。

JCBでは2022年10月、IDEMIAやSoft Spaceとの協業により、CBDC向け決済ソリューションの実証実験「JCBDC」プロジェクトを開始。JCBが提供するタッチ決済インフラの活用、CBDC向けのカード形状インターフェイスの提供、疑似的なCBDC取扱環境を構築し、2023年3月までの実証を行っている。なお「JCBDC」はJCBによる造語で、「Japan CBDC」と「JCB Digital Coin / Currency(JCBによるデジタル通貨向けソリューション)」を表しているとのこと。

またJCBは2023年12月、オフライン環境下におけるCBDC送金(オフラインP2P送金)の実現に向けて、JCBが保有するタッチ決済インフラなど(EMVベースの技術仕様、セキュアエレメントが内蔵されたタッチ決済搭載カード、NFC技術を用いたスマートフォン連携)の活用、そして協業パートナーが提供する先端テクノロジーの活用による新たなソリューションを開発し、2024年5月までの実証を行っている。

そして富士通ではRidgelinezと、各国におけるCBDC検討の活性化を受けて、決済インフラについての調査研究を進めているとのこと。 

今回その一環として富士通は、JCBとのCBDC活用に向けた検討に参画したという。

JCBは今後、富士通の決済インフラシステムに関する知見や技術がCBDCを活用したキャッシュレスサービスの相互運用性に貢献できることを期待しているとし、またCBDCに関して、ブロックチェーンなどの技術の活用も今後検討していく予定であるとのことだ。

ホワイトペーパー「CBDCを活用したブリッジ(中継サービス)によるインターオペラビリティの実現」

WPはこちら「CBDCを活用したブリッジ(中継サービス)によるインターオペラビリティの実現」

参考:富士通

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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