ワールドコインが「ワールド」に改称、「World ID」発行活動を強化へ

ワールドコインが「ワールド」に改称

オープンAI(OpenAI)CEOのサム・アルトマン(Sam Altman)氏が設立した暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールドコイン(Worldcoin)」が「ワールドネットワーク(World Network)」へと名称を変更した(※1)。さらにワールドコインから、同プロジェクトのデバイス「オーブ(orb)」使用した、すべての人間の虹彩をスキャンする取り組みを強化すると併せて発表された。

「オーブ」により発行される「ワールドID(World ID)」は、持ち主が本物の人間であることを証明し、オンラインのAIチャットボットとの違いを区別するための「デジタルパスポート」として提供されている。

データ収集をめぐって精査を受けている「ワールドネットワーク(ワールド)」は、10月17日にサンフランシスコで行われたイベントで、5G接続と強化されたプライバシーおよびセキュリティ機能を備えた「オーブ」の新バージョンも発表した。

さらに同プロジェクトは、オーブを人々に届けるために専用に設計された小売店やラテンアメリカの配達サービスのラッピ(Rappi)との提携など、「オーブ」へのアクセスを容易にする新たな方法も発表した。

「ワールドID」を取得するには、取得希望者が「ワールドネットワーク(ワールド)」の「オーブ」を使用して対面で虹彩スキャンを行う。「オーブ」はボウリングボールとほぼ同じサイズの銀色の球体だ。

「オーブ」の虹彩スキャンで、希望者が実際の人間であることが確認されると、「ワールドID」が生成される。特定の国で登録したユーザーには、特典として「WLD」と呼ばれるトークンが提供される。

「ワールドネットワーク(ワールド)」の背後にある企業は、サンフランシスコおよびドイツのエアランゲンを拠点とするツールズ・フォー・ヒューマニティ(Tools for Humanity)である。同社によると、プロジェクトが2023年7月に開始されて以来、690万人以上が虹彩スキャンを行っている。

プライバシー保護活動家は、個人データの収集、保管、使用をめぐって、このプロジェクトを批判している。

今年初めスペインとポルトガルは、虹彩スキャンの一時的な禁止を発表し、アルゼンチンと英国も「ワールドネットワーク」を調査すると述べている。

(※1)2024.10.21 11:00追記:ロイターではワールドネットワークと報道されていますが、実際には「ワールド」へ改称。それに伴いタイトルと見出し、本文を一部変更しました。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Sam Altman’s rebranded Worldcoin ramps up iris-scanning crypto project
(Reporting by Anna Tong in San Francisco; Editing by Sonali Paul)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。