中東の紛争がビットコイン価格に影響
暗号資産(仮想通貨)取引所ビットメックス(BitMEX)の共同創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏が、10月16日に更新したブログにて、地政学的なリスクによりビットコイン価格が上昇するだろうと予測した。
ブログのタイトルは「根強いウィークレイヤー(Persistent Weak Layer)」。同ブログにてヘイズ氏は、米政府が中東での紛争に財政支援を行うことで通貨が刷られ、ビットコイン価格の上昇につながると主張している。
ヘイズ氏は「戦争はインフレを引き起こすことは周知の事実」だとし、「米国政府がイスラエルに爆弾を売るために資金を借り入れなければならないことも分かっている。連邦準備制度理事会(FRB)と米国の商業銀行システムは、紙幣を印刷してバランスシートを拡大することでこの負債を賄うだろう」と述べた。
ヘイズ氏はビットコインについて、誕生以来、FRBのバランスシートを25,000%上回るパフォーマンスを達成しており、これは法定通貨の価値下落に対するヘッジ手段としての価値を裏付けるものであると指摘した。
また、ヘイズ氏は紛争の影響でマイニングマシンが破壊される恐れがあるとするリスクにも触れ、中東においてビットコインマイニングが盛んなのはイランだけで、同国が占める割合は世界のハッシュレートの最大7%にとどまるため、「中東の紛争が激化しても、暗号資産を支える重要な物理的インフラが破壊されることはない」と指摘。また、「エネルギー価格が急騰すれば、ビットコインと暗号資産は上昇する。新たに印刷された数千億ドル、あるいは数兆ドルが、ビットコインの強気相場を再活性化させるだろう」と予想した。
ビットコインの強気相場を予想する一方でヘイズ氏は、暗号資産を慎重に取引するようにも呼び掛けた。
あらゆる主要国や経済圏は通貨の価値を下げ、通貨を刷っているため、暗号資産をロングする絶好のタイミングではあるものの、「イスラエルとイランの緊張が高まり、ペルシャ湾の油田が破壊され、ホルムズ海峡が封鎖され、あるいは核爆弾が爆発した場合、暗号資産市場は大幅に下落する可能性がある。戦争は投資対象にならない、と言われているようにね」とヘイズ氏は述べている。
また、ビットコインがいずれ上昇するからといって、激しい価格変動が起こらないわけではなく、あらゆるアルトコインが上昇するわけでもないので、ポジションを適切に調整することが重要だと述べた。
複数のミームコインに投資していたヘイズ氏は、イランがイスラエルにミサイル攻撃を仕掛けた際にそれらのポジションを大量に整理し、現在は「Church of Smoking Chicken Fish(SCF)」のみを保有しているという。
最後にヘイズ氏はトレーダーたちに、政治情勢に左右される感情的な判断は避けるよう助言した。「最善の策は、自分自身と家族を危険から遠ざけ、その資本を、通貨の価値下落を上回るパフォーマンスを維持し、エネルギー購入力を維持する手段に投資することだ」 とブログを締めくくった。
参考:ブログ
画像:Reuters