一部から冷ややかな声も
米大統領選の民主党候補カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領が、「黒人男性のための機会に関するアジェンダ(Opportunity Agenda for Black Men)」と称する提案を10月14日に発表した。
同提案は、黒人男性の経済的自由獲得や権利保護を目指すものだが、その中でハリス氏は暗号資産(仮想通貨)についも言及した。
同アジェンダでハリス氏は「暗号資産やその他のデジタル資産に対する規制の枠組みを支持し、これらの資産に投資し所有する黒人男性が保護されるようにする」と示した。
具体的には「米国黒人の20%以上が暗号資産を所有しているまたは所有したことがある」と述べられ、ハリス氏が「新しいテクノロジーが銀行や金融サービスへのアクセスを拡大する方法を高く評価」しており、「デジタル資産の所有者や投資家が規制の枠組みから利益を得られるようにし、この市場に参加する黒人男性やその他の人々が保護されるようにする」とアジェンダでハリス氏は述べている。
なお暗号資産以外の計画としては、起業機会の創出や、黒人男性に焦点を当てた健康イニシアチブの立ち上げ、事業の立ち上げ資本のない黒人起業家に対しての、最大2万ドルまでの全額免除のローン100万件の提供が挙げられた。さらにハリス氏は、娯楽用マリファナの合法化を目指し、同分野で黒人系米国人が成功する機会創出にも努めると謳っている。
今回のハリス氏の動きに対する暗号資産コミュニティの反応は、やや冷ややかだ。
今回のアジェンダについて、資産運用会社ビットワイズ(Bitwise)のCIOマット・ホーガン(Matt Hougan)氏は10月14日のXにて反応。「この発言が、人々が期待している『ハリス氏の方針転換』のすべてなの?討論会ではもっと詳しく言及したのかな?」と問いかけ、ハリス氏の発言は受け手によっては暗号資産推進派または暗号資産反対派どちらにも取れるものであり、ハリス氏の立場を示すものではないと指摘した。
またこのポストに対し、ブルームバーグ・インテリジェンスのジェームス・セイファート(James Seyffart)氏は「実に奇妙な声明文だね」と反応している。
なお米コインデスクによれば、ハリス氏は10月14日夜行われた討論会で、同アジェンダについて触れたものの、それがデジタル資産にどう影響するかについてなど詳しい話は、しなかったとのことだ。
またナショナル・ポリシー・ネットワークWOCブロックチェーン創設者のクレブ・メシドール(Cleve Mesidor)氏はザ・ブロック(The Block)の取材に対し、「ハリスの政策チームは暗号資産業界の多様なリーダーたちとの会合を拒否するのに、暗号資産を黒人男性のみに狭く限定し、黒人男性を事業者ではなく消費者として規制する枠組みを提案する政策を展開しているのは理解に苦しむ」と述べている。
ハリス氏は9月に発表した公約にて、「米国のイノベーションと労働者を支援する」という項目で、「ハリス副大統領は、半導体、クリーンエネルギー、AI、その他の未来の最先端産業における米国のリーダーシップを引き続き支援する」と述べたが、ブロックチェーン技術や暗号資産に言及していなかった。
一方、今回の選挙戦で暗号資産に友好的な姿勢を見せるトランプ氏は、ビットコインカンファレンス「Bitcoin 2024」にて、自身が大統領に選ばれたら就任初日に米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長を解雇すると公言し、会場を沸かせていた。
またトランプ一族が関わるDeFiプロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial:WLF)」が推進されている最中でもある。
Serious question: Is this statement the extent of the “Harris pivot” people are excited about? Or did she say more in the live setting?
— Matt Hougan (@Matt_Hougan) October 14, 2024
These words are a Rorschach test, not a position — you can read them as aggressively pro-crypto or anti-crypto. pic.twitter.com/VFX4gEk4ph
参考:発表・米CoinDesk・The Block
画像:Reuters