イーサリアムのブロック生成間隔を短くする提案「EIP-7781」が提出、スループットの大幅改善か

イーサリアムのブロック生成間隔を短くする「EIP-7781」が提出

イーサリアム(Ethereum)の新たな改善提案として、スロットタイムを12秒から8秒に短縮する「EIP-7781」が、イリュリアドゲームズ(Illyriad Games)の共同創業者のベン・アダムス(Ben Adams)氏によって10月5日に提出された。

なおスロットタイムは、イーサリアムにおけるブロックを生成してから次のブロックが提案されるまでの間隔のこと。「ブロックの生成間隔」と言い換えられる。このスロットタイムが短くなれば、より高頻度でブロックが生成されることになる。そのためネットワークのスループットは向上する。

またこれにより、レイヤー2ネットワークなどがステートをブロードキャストする際に使用するデータ領域である「ブロブ(Blob)」も実質的に増加することになる。そのため、レイヤー2ネットワークのレイテンシ(通信の待機時間)が低下するだけでなくガス効率が改善すると予測されている。

なおイーサリアムのスループットを向上する提案は以前からされている。今年1月にはイーサリアムの共同創業者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、ブロックあたりのガスリミット上限を引き上げることで一つのブロックに含められるトランザクション量を増加する提案を行なっている。また他にもコミュニティでは、前述した「ブロブ」の容量を増やす提案もされていた。

しかしこれら提案には、瞬間的なリソースの負担であるピーク帯域幅を上昇させるという欠点があり、バリデーターのノードに対するハードウェア要件を大きく引き上げる可能性がある。「EIP-7781」で提案されるスロットタイムの短縮では、このピーク帯域幅を引き上げることなくこれらの提案と同様の機能向上を実現可能だ。

EIPは、提出された後に適切であるかの複雑な議論が行われるが、「EIP-7781」はすでにイーサリアム財団(Ethereum Foundation)の研究者であるジャスティン・ドレイク(Justin Drake)氏の承認を受けており、採用が予測されている。

参考:github https://github.com/ethereum/EIPs/pull/8931
画像:iStocks/BlackSalmon

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

広告

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している