ビットコイン生みの親「サトシ・ナカモト」の正体に迫るドキュメンタリー、米HBOが公開へ

「Money Electric: The Bitcoin Mystery」公開へ

ビットコイン(BTC)の発明者であるサトシ・ナカモトの正体に迫るドキュメンタリーが、米ケーブルテレビネットワークHBOにて10月9日に公開予定だ。10月3日に予告編が公開された。

「Money Electric: The Bitcoin Mystery」と題されたこのドキュメンタリーは、Qアノン(QAnon)陰謀論の黒幕を暴いたドキュメンタリーシリーズ「Q: Into the Storm」の監督、カレン・ホーバック(Cullen Hoback)氏によって制作されている。

同作では、「暗号資産の父」としても名高い暗号解読者でサイファーパンクのアダム・バック(Adam Back)氏をはじめ、複数の有識者にインタビューを行い、ビットコインの発明者は誰かや、サトシはグループだったのではないか、ビットコインが世界経済に与えたインパクト等について深掘る内容となっている。

なおビットコイン支持者のバック氏は、サトシからメールを受け取った最初の2人のうちの1人としても知られている。

またバック氏は、自身がサトシであることを否定している。

バック氏は今年2月に英国で行われた裁判にて、サトシとビットコインのホワイトペーパーについて議論した電子メールを公開。同メールでは、バック氏が1990年代に、スパムメールを妨げるために発明した「ハッシュキャッシュ」を、サトシがビットコインマイニングのアイデアの一つに使っていたことが明らかになっている。

なお同裁判は、非営利団体「クリプト・オープン・パテント・アライアンス(Crypto Open Patent Alliance:COPA)」がビットコインを発明したと主張する豪州のコンピューター科学者クレイグ・ライト(Craig Wright)氏を訴えているものだ。

英国高等法院の判事は3月、ライト氏は「サトシ・ナカモト」ではなく、ホワイトペーパーも執筆していないとの裁定を下しており、ライト氏は偽証罪に問われている最中だ。

またギャラクシーデジタル(Galaxy Digital)のリサーチ部門責任者であるアレックス・ソーン(Alex Thorn)氏は、サトシがレン・ササマン(Len Sassaman)氏だとする説を支持している。ササマン氏はサトシが初めてビットコインを発表したメーリングリストに寄稿していた人物。ササマン氏は2011年に自死しているが、長年サトシではないかと見なされていた。

また、2014年に亡くなったコンピュータ科学者ハル・フィニー(Harold Thomas Finney II)氏も、サトシ以外で初めてビットコインのソフトウェアをダウンロードした人物で、ビットコインの最初の受取人であったことからサトシではないかと考えられていた。なお本人は生前これを否定している。

フィニー氏は2014年8月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の合併症で亡くなったが、死後もなおサトシではないかと噂されている。

なおもし、サトシが存命で秘密鍵にアクセスできるとすれば、世界で最も裕福な人物の1人になりうる。サトシの推定ビットコイン保有数は現在の評価額で約660億ドル(約9.7兆円)相当にあたる約110万枚だ。

画像:Reuters

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あたらしい経済 編集部

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