Aptos Labsがハッシュパレット買収、PLTはAPTに引き換えでELFはアプトス上に移行

Aptos Labsがハッシュパレット買収

アプトスネットワーク(Aptos Network)開発元のアプトスラボ(Aptos Labs)こと米マトニー(Matonee)が、パレットチェーン(Palette Chain)開発元のハッシュパレット(HashPalette)を買収することが、両社より10月3日に正式発表された。

発表によるとハッシュパレットの完全親会社であるハッシュポート(HashPort)は、ハッシュパレットの株式をアプトスラボへ譲渡し、ハッシュパレットがアプトスラボの完全子会社に移行する契約を締結したとのこと。

この契約により、パレットチェーンはアプトスネットワークへ移行し、パレットチェーンのガバナンストークン「パレットトークン(PLT)」はアプトスネットワークのネイティブトークン「アプトス(APT)」へ引き換えが行われるとのこと。

またパレットチェーン上のNFTおよびゲーム等のコンテンツ、「THE LAND エルフの森」のトークン「エルフトークン(ELF)」も順次アプトスネットワークへ移行。さらにハッシュポートが提供を行う「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の「EXPO2025デジタルウォレット」もアプトスネットワークへ移行するとのこと。

ハッシュパレットは今回の株式全譲渡の理由について、「(パレットチェーンは)実績を積み上げてきた一方で、パレットチェーンには多くの課題が残っていることも開発チーム一同認識しており、その抜本的解決について議論を重ねて参りました。Web3の社会実装をさらに加速させるために、Palette Chainで構築されるサービスがより高いスケーラビリティとユーザビリティを実現し、グローバルのWeb3市場によりスムーズにアクセス出来るようにするための検討を重ねた結果、今回のAptos Networkへの移行が最適な解決策であるとの結論に至りました」とコメントしている。

またアプトスラボは「2025年4月から10月にかけて2,800万人以上の来場者が訪れると見込まれる2025年大阪万博に間に合うよう、パレットチェーンのエコシステムは2025年1月までにアプトスに統合される予定です。アプトスは、『EXPO2025 DIGITAL WALLET』を動かす独占的なブロックチェーンとして機能します」と述べている。

なおアプトスの開発を支援するアプトス財団(Aptos Foundation)は今年6月、アリババクラウドと提携し、「日本のweb3エコシステムの強化およびアジア太平洋地域のアクセシビリティを向上させる」と発表していた。これにより両者は、スマートコントラクト言語であるMoveの影響と普及の拡大を目指すアジア初のMove言語開発者コミュニティ「Alcove(アルコーブ)」を立ち上げていた。

PLTのAPT引き換えについて

PLTのAPTへの引き換えについては、11月下旬より暗号資産交換業者にて、一定の交換期間を設定し実施するという。なお引き換え時のレートは、1PLTにつき0.00339139APTとなる予定で、引き換えにより取得したAPTは1年間の売却禁止期間が設けられる可能性があるとのこと。

このことについては、引き換えを実施する暗号資産交換業者との協議等によって変更する可能性があるとのことで、詳細については別途アナウンスされるとのことだ。

パレットチェーンとは

「パレットチェーン」は、デジタルアイテムを発行・管理・流通するためのエンターテイメント特化型チェーンだ。2024年8月23日には半減期を迎え、現在ローンチ4年目とのこと。これまでの3年間においてパレットチェーン上では、398万個のNFT発行、2,582万件のトランザクション、トランザクションを送信または受信したことのあるウォレットアドレスは34万に上ったという。

同チェーンのパレットトークンは、日本初のIEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)銘柄としてコインチェックに2021年に上場していた。また国内5例目のIEOとなった「エルフトークン(ELF)」は今年2月にビットフライヤーに上場していた。

なお同チェーンのバリデータノードに参画しているのは、neo(ネオ)、IOST(アイオーエスティー)、Ontology(オントロジー)といったブロックチェーンプロジェクトの他、3D AR-NFTプラットフォーム「Mugen ARt」を提供するMAG HUB(マグハブ)やHashKey DX(ハッシュキーDX)、ceres(セレス)、Link-U(リンクユー)、暗号資産取引所のOKJなどのweb3企業、ハッシュパレットの親会社であるHashPort(ハッシュポート)、TOPPANエッジだ。

アプトスとは

アプトスは、「Move」言語を採用したレイヤー1ブロックチェーン。並列処理、パイプラインおよびモジュラー技術を用いて、安全かつ効率的なトランザクションの実行を可能としている。TVL(Total Value Locked)は、過去12ヶ月で473%成長し、5.5億米ドルを超えている。

なお「Move」は、メタ(旧:フェイスブック)が2019年に「リブラ(Libra)」として発足したステーブルコインプロジェクト「ディエム(Diem)」のチームが開発したスマートコントラクト言語だ。

なおアプトスの開発は、ディエムの開発チームに所属していたモー・シャイフ(Mo Shaikh)氏とエイブリー・チン(Avery Ching)氏が共同創業したアプトスラボ(現マトニー)が主導している。

ちなみにアプトスの独自トークン「APT」は国内において、OKJ、SBI VCトレード、ビットトレード、バイナンスジャパンが取り扱っている。

参考:ハッシュパレットアプトス
画像:iStock/Максим-Ивасюк・Thinkhubstudio

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。