L1開発者に報奨金を与える
レイヤー1ブロックチェーン「アバランチ(Avaranche)」の運営・開発を支援するアバランチ財団(Avalanche Foundation)が、同チェーン上で新しいプロトコルを構築する開発者を支援するための助成金プログラム「Retro9000」を9月26日発表した。
「Retro9000」は、アバランチ上のエコシステム構築ブロックのテストと立ち上げを行う開発者支援を目的としており、開発者のイノベーションと構築を支援するものだと説明されている。なお助成金の額は、4,000万ドル(約58億円)とのこと。
具体的には、アバランチの大型ネットワークアップグレード「Avalanche 9000」のテストネット上で、特にL1ブロックチェーンと関連する重要な開発ツールを構築する開発者に報酬が支給される。
アバランチ開発元の米アバラボ(Ava Labs)の最高執行責任者(COO)であるルイージ・D・デメオ(Luigi D’Onorio DeMeo)氏は、「『Retro9000』のインセンティブ付きのテストネットプログラムは、L1エコシステムを自走させながら、最も魅力的な開発者にインセンティブを提供し、彼らの製品開発を支援する試み」だと述べている。
「Avalanche9000」は、L1ブロックチェーンを展開する際の経済的な障壁を大幅に引き下げ、あらゆる規模の構築者が実験を行うための安全なレイヤーを構築しながら、企業がより迅速に市場に参入することを可能にするとアバランチは説明している。
なお応募の各ラウンドは異なる期間で公開され、締め切りは事前に発表される場合とされない場合があるとのこと。応募者はラウンドの全期間を通じて、新規の申請が可能だ。最初のラウンドである「Avalanche 9000」テストネットは、少なくとも「Avalanche9000」のメインネットがアクティベートされるまで公開され、さらに長い期間公開される可能性もあるという。
なお「Retro9000」のサイトでは、同プログラムへの早期アクセスが募集開始している。
Avalanche 9000について
「Avalanche 9000」には、L1ブロックチェーンの立ち上げを容易にする「エトナ(Etna)」アップグレードや、開発者のインセンティブに関する変更、マルチチェーンサポートの強化などの複数の更新が含まれる。
同アップグレードによりサブネットのバリデーターの仕組みがアバランチのプライマリネット(C・Xチェーン)から切り離され、サブネットは独自のL1ブロックチェーンとして稼働することになるため、現在アバランチのサブネットを構築するために必要な2000AVAXのステーキングが不必要になる。
またこれまでサブネットのバリデーターは、アバランチのプライマリネットーワークのバリデーターを並列して行う必要があった。しかし「エトナ」実装後は、サブネットのバリデーターとしてのみ稼働すれば良くなるため運用コストが下がるという。
これによりサブネット構築のための金銭的な障壁が小さくなり、今後より多くのサブネットが立ち上げられることが想定されている。
なお同アップグレードを機に、現在のサブネットモデルはレイヤー1ブロックチェーンズ:Layer 1 blockchains(L1s)へと概念・名称が変更される予定だ。
さらにネットワークが切り離されるため、ガス代の大幅削減も期待されている。
参考:発表
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