みずほ銀・IHI・富士通、「Jクレジット」の創出から資金化の支援事業。ブロックチェーン活用で

みずほ銀・IHI・富士通が「Jクレジット」の創出から資金化の支援事業

総合重工業グループのIHI、富士通、みずほ銀行が、J-クレジット創出者の手続効率化および早期資金化を支援する「J-クレジット創出トータル支援サービス」の開始に向け9月16日にMOU(覚書)を締結した。なお同サービスには富士通のブロックチェーン技術が活用されるとのこと。9月18日に発表された。

同3社による今回の共同事業は、今後急激に需要拡大が見込まれるJ-クレジットの創出量拡大を目的としている。またJ-クレジット創出者の課題となる「創出手続きの負荷」および、「資金化までのリードタイム」の両面を解決するとのこと。

発表によると現在、企業や団体がJ-クレジットを創出するためには、プロジェクト登録からJ-クレジット発行までの各フェーズにおいて様々な手続きが必要であり、そのために要する多大な時間と作業負荷が課題になっているという。また創出後に販売先が見つからず、長期間資金化できないというリスクも内在しているとのこと。

なおJ-クレジット制度は、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用、適切な森林管理によるCO2の排出削減や吸収を「クレジット」として国が認証する仕組みである。

「J-クレジット創出トータル支援サービス」は、IHIと富士通が開発する環境価値創出プロセス(CO2排出量などのデータ収集、報告、検証)をデジタル化する「MRV支援システム」と、みずほ銀行の持つ顧客ネットワークを組み合わせ開発を行うとのこと。

なおこの「MRV支援システム」は、ブロックチェーンを活用し、J-クレジットの測定(Measurement)、報告(Reporting)、検証(Verification)の各業務をサポートするものだ。

「J-クレジット創出トータル支援サービス」では、IHIのJ-クレジット創出知見および、エンジニアリング知見による環境設備からのデータ取得ノウハウと、富士通のブロックチェーン技術や自動化技術により、高信頼なデータ管理・蓄積を実現するという。またそれと共にJ-クレジットの創出に必要な申請手続きを効率化し、負担を軽減するとのこと。さらに、みずほ銀行の顧客ネットワークおよび、流通市場におけるプレゼンスを背景としたJ-クレジットの優先買取りスキームもワンストップで提供するとのことだ。

同サービスは、2025年度第1四半期中に開始を目指すという。まずは、太陽光発電設備を導入することにより系統電力などを代替する排出削減活動を対象としたJ-クレジットの創出から提供を開始するとのことだ。

なお「あたらしい経済」編集部がIHIの広報担当へ取材したところ、「MRV支援システム」にはエンタープライズ向けブロックチェーン基盤「ハイパーレッジャーファブリック(Hyperledger Fabric)」を用いており、実装には富士通のプラットフォームサービスを活用しているとのことだ。

IHIと富士通は、2023年度環境省で行われた簡易創出基盤(現:MRV支援システム)を活用したクレジット認証のデジタル化に係る実証事業に参画し、企業などが容易に、CO2削減活動で創出した環境価値をJ-クレジット化できることを示したという。なお両社は、2024年度も環境省の「J-クレジット制度におけるMRV支援システム運営事業者」に採択されているとのことだ。

参考:IHI
画像:iStock/TU-IS

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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